94年の韓国であるけれど
観ていてとてもヒリヒリしました。
家父長性が色濃く残り男子中心の家庭。
男兄弟の高学歴を望み女子はたとえ頭が良くても
進学できない。
家庭内では兄は妹に暴力を振るう…
ほんの四半世紀前の事です。
昨年ベストセラーとなった
チョ・ナムジュ著の「82年生まれ、キム・ジヨン」でも女子の扱いが同じでした。
でも本作と少し違うところは
女性は役割だけでは無く存在感も名前もしっかりあるところです。
主人公ウニと同じ94年14歳だったキム・ボラ監督の強い想いだったのかもしれません。
家でも学校でも窮屈で不満を抱えているウニですが
少し歳上の女性ヨジンと出会い立ち向かう事を学びます。
悲しみのシーンは号泣だけでなく
後姿、背中で物語っているのも
より悲しみが募りますし、
父や兄の泣くシーンは弱々しく
強がっているけれどじつは男性が弱いんだなとも思いました。
(叔父さんも弱かった)
劇中登場するポケベルも懐かしいアイテムです。
今でもこそ勢いのある韓国ですが
少し前の時代の変換期の韓国社会の危うさも伝わってきました。
14歳の大人でも子供でもなく立ち位置が定まらないウニと94年の韓国社会はとても似てます。
そんなウニの必死になって生きていく様が瑞々しく見えるのです。
(82年生まれ、キム・ジヨンの映画はこの秋公開ですが楽しみの反面、作者が語りたかった事がしっかり語られているか少し不安もあり)