おさかなはフィッシュ

はちどりのおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.0
高校生の頃、私にもああいうお姉さんがいた。死ぬほど退屈な日々を越えた先にいて、分からず屋の両親や同級生には内緒でその先を垣間見せてくれる。息を詰まらせていると、窓を薄く開けて風を通してくれる。そのことにどんなに救われたことか。憧れ。そしてお姉さんの歳を追い越した今でも、変わらずに神秘のままでいるーー。



確かに中学生だった頃と今とを比べてみれば、随分どっしりと構えているようになった。その羽ばたきの細やかさをみとめるためには、常にあれだけ近くに寄っていねばならなかったか。見上げるような座席に座っていたこともあり、かなりの疲労を覚えた……。



ウニ役の女の子がよかった。あの年代の女の子の、ほぼ無表情、口角の下がった表情が好き。他人には踏み入らせない領域を持ち、誰かに媚びることもしない。

お姉さんこと漢文の先生はどこかで見たことがあるとずっと考えていたら、ホン・サンスの『それから』だった。化粧っ気のないヘアメイク、気骨の表れた骨張った手首。好感。



出張で久しぶりに東京まで来たので、飲み会なんて抜け出して映画へ。
ユーロスペースにて鑑賞。