ヤベヒロシ

パリに見出されたピアニストのヤベヒロシのレビュー・感想・評価

3.2
「蜜蜂と遠雷」と同じようなピアノ、かつコンクール出場映画なのだが、内容は真逆といったところ。

「蜜蜂と遠雷」が、才能溢れる若者がすべてを投げ捨てピアノに向かうという求道者的な映画であるのに対し、今作は才能こそすべて、努力とか大してしなくても才能さえあればなんとかなるし上手くいく的な映画。

「蜜蜂と遠雷」にもあったが、1日2日とでも練習しなければ圧倒的に演奏レベルが落ちていくピアノの世界において、今作主人公は割とぐーたら、街にピアノがあれば練習するといったレベル感でプロ級の演奏ができるという時点で、やはり鑑賞者としては疑問なところ。

更に、ぐーたら、努力嫌いにもかかわらず、「音楽学院」がすべての学生を犠牲にしてでもぐーたら主人公のピアノの応援をするといったところも疑問。

なんというか、あまりに主人公が恵まれすぎているし、悪態ついても周りが我慢してくれるし、才能あればなんでもOKの世界はいかがなものかと。いろんな支障、問題がところどころに起きても、なんか途中で自然に解決してるし。え?あの問題は大丈夫になったの?とか何度か突っ込みたくなった。

ラストの演奏も、素人耳ではあるが、正直あまりうまいとは思えず、周りのオーケストラとも合っていないような気がした。

まぁ内容はちょっと微妙だが、美しいピアノの旋律はとにかくたくさん聴けるので、そこだけかないいところは。取り立てて、無理してみる必要はない映画です。
ヤベヒロシ

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