アーリー

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のアーリーのレビュー・感想・評価

3.8
2023.10.30

架空の雑誌のお話。タイトルはその雑誌の名前。編集長はビル・マーレイ。彼が亡くなり、遺言でこの雑誌を廃刊にすることが決定。彼の追悼ページを含めたラストの号に載せられた記事の映像化。

エピソードが四つある。それぞれ自転車で街を紹介するもの、囚人のアーティストと看守、学生運動とライター、フランスの地にての黒人とアジア系の交流。それぞれに繋がりはなく独立したオムニバス。
 「アステロイド・シティ」を観た時と同じように、何を言いたいのかがわからない感じがする。アート作品みたいにメッセージが込められている雰囲気は感じるが、その内容があまり伝わってこない。もしかしたらないのかもしれない。それか自分の読み取り能力や知識が足りていないか。明らかに脚本の作り方を変えてる。「グランドブダペストホテル」「犬々島」の二つはエンタメに富んでてわかりやすく、尚且つメッセージ性もあった。誰にでも刺さるような、みんなが観たいと思える作品やった。今作と次作「アステロイド・シティ」はなんというか、売れる売れないは考えずウェス個人の作りたいものをそのまま作ってる感じ。
 あんまり意図が伝わってこない作品なのに、観てて飽きないのはもう既にカメラワークとか構図が特徴的やからかな。色彩感覚が評価されてる部分でもあるのに敢えてモノクロのシーンを作ったのはなんでやろう。色付けるとこの判断とかもわからんし。本当に自分の感覚をそのまま表現してるんやろうな。

どのエピソードも恋のテーマがあったかな。オーウェン・ウィルソンのやつだけなかったか。フランスという土地柄もあってのことかな。どのエピソードが一番好きやろう。アジア系のシェフが出てくるやつはアニメーションのシーンもあって新鮮。ストップモーションで撮らんかったのはなぜか。結構シュールで笑えるのはいつも通り。イカれた囚人アーティストと看守、学生運動のリーダーと年増独身女。恋というには少しアブノーマルさがある感じもフランスっぽい。アートの感覚で恋を語ると大体セックスだけの関係なんよな。

なんか難しいなあというのが感想。個人的には「グランド〜」路線の方が好みかな。
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