うみ

ナショナル・シアター・ライヴ 2019 「イヴの総て」のうみのレビュー・感想・評価

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2020.03.08
2時間半でしたが重いテーマ、終始「マジ」なので重苦しかった。良かったけど。

間違いなく良作ではあるけど、リーマン・トリロジーと比べてしまうと舞台らし~い見づらさがあり。原因は重苦しいずっしりとしたテンポ感か。精神ポイントのみならず体力をも削り取っていく感じ。
転換は普通に待たされたりもするし、特有の間の使い方とか空気感とか、やっぱり映像とは違うエンター・テインなのだなと改めて実感。(わりかし悪いことな気がする)

随分とガラガラで、再上映+ご時世とは言え集客は振るわなかった様子。
タイトルも、原作を知らない人にとっては(楽天的でない)シンプルで内容がわかりづらいタイトルだし、
相当なコアな人じゃないと観に来なさそう。一人客ばかりだったのもそれゆえか。

映画版は観ていないのですが、どうやら老いに対するテーマ偏重は舞台ならではのようで。
スターダムでの成り上がり蹴落としあいは今でこそ見慣れたテーマ、という点も意識して、万人に普遍的なテーマに寄せたのだろうと推察。
自分が今後の人生で年を重ねていくことをどう受容できるのか/できないのか、結構真剣に考えた。

余談だけど、知り合いにかつてブロードウェーのショーに出演していた女性がいて、ルームメイトにお風呂の床にオイルを巻かれたとか、突然屈強な男たちにめちゃめちゃ殴られて歯を折られたとか、ちょっと三度聞きしちゃうようなレベルのエピソードが多かったのを思い出した。蹴落としあいの話って何度も観た気になってるけど、実際のところは実在をまだ信じられてはいないなあ…。

演出のイヴォ・ヴァン・ホーヴェは私の大好きなベルイマン『叫びとささやき』『ペルソナ』を舞台化もしているとのことで、
映像で観れる機会があれば一応観てみたい。前のめりではないが。(舞台化はそうそう難しそうな作品ですが…)

https://note.com/kakkyaa/n/n207e263c047c
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