同じくネットフリックス配信の作品、「コードネーム エンジェル」と同じく、エジプトのナセル大統領の娘婿であり、かつイスラエルとの二重スパイではないかと言われたアシュラフ・マルワンの死の真相を追ったドキュメンタリー。「コードネーム エンジェル」は、このマルワンをモデルとしたフィクションだったが、こちらの作品は、ロンドンの高級アパートで突然、転落死した彼の実像を、実際に調べ上げた学者やジャーナリストへの取材も交え、明らかにしていく。
フィクションである「コードネーム エンジェル」では、マルワンを二重スパイではなく、エジプトの危機を救った知られざる英雄のように描かれていたが、このドキュメンタリーでは、イスラエル側でマルワンと接触していたモサドの担当者などの証言も交え、その実際の姿に迫っていく。ナセルの娘婿であった彼が、なぜイスラエルの情報部と接触するに至ったか、そのあたりの事情を追っていく。決して「コードネーム エンジェル」のようなスパイドラマではない、リアルなエジプトとイスラエルの関係も見えてくる。そういう意味で言えば、両作品で互いを補完し合いながら観ると、興味も倍加するかもしれない。