Kaoru

デッド・ドント・ダイのKaoruのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.0
えっと…ち、ちょっと待って。
レヴューを書きながら頭整理するから、まとまらないかもしれないけれど、頑張る。いやーまって。落ち着けアタシ。

すんごい大好きなジム・ジャームッシュ監督が、実力派俳優人をひっさげて、全力で、それもかなりのパワープレイで、どこまでくだらないことができるか試した結果これができた、みたいな本作。あ、まって、それじゃ語弊がある。つまらない映画とかじゃないのよ。一流が送るB級の極み、みたいな、まぢですんごかった。

そもそもゾンビって時点でまともなものは期待していないんだけれど、ゾンビとかSFとかアクションとか社会派だったり、それを全部ほんの〜りかすっていてどれも掴んでないような、不思議な感覚だった。

いやぁ〜でもさ、ティルダとか、アダムとか、ビル・マーレイとか、すでにゾンビフェイスなキャスト陣で、そんな人々が淡々と恐ろしいことをこなしていく感じなのよね。で、ティルダのあのくだりとか、ジャームッシュ監督らしく後処理なしの放置プレイとか、もうどんだけジャームッシュ監督なの!?大好きすぎるぞ!

でもさ、よくよく考えてみれば、めちゃめちゃすごいかもしれない。
いろんなゾンビがいて、コーヒーゾンビとか、Wi-Fiゾンビとか、Bluetoothゾンビとか、ファッションゾンビとか、その人が生前執着していたものにゾンビになっても取り憑かれているワケなんだけれど、みんながホント自分しか興味がないしセルフィな輩たち。そんな中で警官陣は最後まで人のために戦った。そしてもう一人あの謎の葬儀屋も。でもそんな彼女のことを誰も知らないし、誰も聞こうともしない。つまり関心すらないのだけれど、最後のあのシーンになって初めて強烈な興味を覚えるという感じ。これすんごい現代っぽい。ここに強烈な皮肉を感じたわ。

そしてあとで記事を読んで納得。
この作品はジャームッシュ監督の怒りが込められている作品なのだそうで。だけれども怒り任せに作品を作るのではなく、いつものカレのあの調子あのやり方を守って怒りを表現した感じがたまらなくいい。鑑賞してからすでに1週間以上も経っているけれど、未だアタシの心を乱しているのだから、アタシにとってはやっぱりいい作品なのだと思う。じわじわと後からやってくる、さまざまな感情に、やっぱりこの監督好きだなぁと再認識。同じくファンの方とお酒でも飲みながらおしゃべりしたい気分。
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