masahitotenma

ひとよのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.0
女優で劇作家の桑原裕子が主宰する「劇団KAKUTA」が初演した舞台を白石和彌監督が映画化。

タクシー会社を営む稲村こはる(田中裕子)が暴力亭主を車で引き殺す。
子どもたちを夫の暴力から守るため、子どもたちの幸せのためと信じての犯行で、彼女は15年後の再会を約束して、警察に出頭、後を叔父さんに頼み家を去る。
そして15年後、約束どおり帰ってくる。

~3人の兄妹は、それぞれが、事件のあったあの一夜(ひとよ)から、心に傷を抱え、それを隠しながら人生を歩んでいた…。
・長男(鈴木亮平)は、吃音症を患っていて、妻(MEGUMI)と別居し、離婚の危機にある。
・二男(佐藤健)は東京へ行きフリーライターとして働いているが、うだつが上がらない。
・長女(松岡茉優)は、夢だった美容師を諦め、スナックで働いている。

脇役では、新人のタクシー運転手で、離婚し、17歳になった息子と久し振りに再会した父親を演じる佐々木蔵之介が、終盤重要な役割を担う。

「これからは好きなように暮らせる。自由に生きていける。何にでもなれる。だからお母さん、今すごく誇らしいんだ」

「自分にとって特別ならそれでいいじゃない」

子どもを守るため暴力亭主を殺すことはやむを得ず、刑期を務めて罰を受ければ罪は償われるとして、殺人が正当化されている。
しかも、この母親は、殺したら子どもが社会からどのような扱いを受けるかも分かった上で計画的に犯罪を犯している。
母性愛至上主義により、他人を殺めることに罪を感じていないようにも思われ、物語の前提となっている根本的なところが、どうもしっくりしない。
15年後に再会を宣言するのも不自然。
masahitotenma

masahitotenma