りほ

82年生まれ、キム・ジヨンのりほのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
5.0
無条件の特権性に無自覚な男たち、女は嫁いで夫の家庭の手伝いをするもの、学歴は必要ないと考える女たち。夫はジヨンの身を案じているし、姉弟や母、昔の職場の上司や同僚がセーフティネットになっているようにも見える。完全に孤立していないからこそ、問題が見えにくくなっている側面もある。

印象的だったのは、兄弟の学費を稼ぐために教師の夢を諦めて工場で働いていた母が、ジヨンに就職を諦めるよう言った父を叱ったシーン。私の母の実家は田舎の山奥で、当時大学に進学する女性は少数で、母は祖父から進学を反対されていたらしい。しかし祖母が、これからの時代は女性も学歴を身につけて働く時代だよ、と言って祖父を説得し、母は大学に通えたのである。私の母のエピソードは30年近く前の日本、ジヨンのエピソードはおそらく20年近く前の韓国のものだが、おそらく現在でも両国で斯様な状況に置かれた女性はいるだろう。
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