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ホームステイ ボクと僕の100日間のtabeeのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「カラフル」を原作として、タイで制作された映画。Wikipediaを読むと完成までに色々な苦労があったようだ。

そのためか、原作から内容が大幅に変更されているけれど、本質的なものは変わっていない。個人的には「カラフルが良い」という、原作にあった直接的なのか曖昧なのかわからないウンチクがさっぱり抜け落ちて、青春劇と様々な人生感を描いた今作はなかなか楽しめた。

母親と父親の職業や立場は原作と違うけど、本質的な人間像は同じ。兄は留学という言葉は原作勢からすると驚く要素だが、これも本質的には原作と同じ。このへんのアレンジが国の文化をうまく反映したローカライズで好感度高し。

物語の導入の驚きは、原作やアニメ版とは違ったハリウッド的な豪華さを感じる。けれどここで作品全体に渡る基本ルールが伝えられ、それ以降は学生生活にシフトできている流れはうまい。

恋愛要素は程々に、主人公は自分自身とその環境と向き合い続け、答えにたどり着く感じは、結果的に「カラフル」でも描かれる本質的な青春の葛藤や苦しみ、楽しさを表現できていて好きです。

相変わらずカラフル関連の作品は母親が辛い運命をたどるんですが…今作はある要素がさり気ない母の愛情を表現していて、それがじわっと効いてきます。逆に父親、兄の描写は少なめ。特に父親はもうこれ以上は変わらん!とでも言いたいくらいにほとんど語られない。

全編タイの言葉で何言ってるのかはわからないし、文化的な違いから共感できない、なんて人も出るかもしれませんが、映画としての内容や画面の完成度は非常に高いと思いました。また、G線上のアリアをテーマ曲に使うのは作品の雰囲気にも合っていてセンスを感じます。原作を大切にしながら、個性を映像に定着できた良作。


ちなみに先にアマゾンプライムのホームステイを見ました。こちらはこのタイ版の日本リメイクです。話の大筋は同じですが、タイ版のエピソードに日本文化を無理やり詰め込んだり、タレント見せシーンを入れたり、原作から要素を持ってきたりとツギハギ感が否めないなと思いました。

あちらでモヤッとした人は、こちらのほうが楽しめると思います。
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