通りすがりのアランスミシー

モラトリアムの通りすがりのアランスミシーのレビュー・感想・評価

モラトリアム(2016年製作の映画)
1.1
映画である必要が無い、というか映像である必要が無い作品。
哲学的な大量のモノローグは小説の一人称語りとしては普通にありだと思うが、映像で見せられても一つとして頭に入ってこなかった。

全体があまりにも曖昧模糊とし過ぎていて全く頭に入ってこない。
映画をアートとして捉えたとしてもいくら何でも語らな過ぎ。
デヴィッド・リンチですらもう少しストーリー性がある。
これでは「映画として」はアートにも娯楽にもなっていない。
(モダンアート美術館で「曖昧模糊」というタイトルでこの映像が流れていたら違和感なく見られたかも)

撮影技術と録音技術については話にならないレベルで低い。
カットを人物・人物とひたすら人で埋めるのはまだ良いにしても同じサイズの顔の切り返しを使い過ぎだし所々ピントが甘い。
録音については輪をかけて酷い。
冒頭の公園のシークエンスは同録が使えなかったからかアフレコで音を埋めていたようだがアフレコ環境を実際の撮影環境とかけ離れたところでやった(かどうか定かではないが)からか完全に音が浮いてしまっていた。
音が悪いのはインディーズ映画の宿命だが劇場公開作であることを考慮するととても看過できない。

では全くダメかというとそんなことは無くて少なくともやりたいことは伝わってきた。
100人が見たら一人ぐらいは刺さる人が居るかもしれない。

追記)他のレビューを見るとどうやら189分版があるらしい。
CIAが拷問への採用を検討しそうだ。