悲しみを背負った女性が救済される愛の物語。
美しく明るい。それが怖い、見えるから怖い。
すべてが奇妙でそれらは否応なく目に入ってくる。
普遍なメッセージでさえ、アリ・アスターのフィルターを通すと、ショック映像となり強烈な印象を残す。
冒頭のタペストリーによって、逃れられない運命が暗示されると同時に、お伽話であることが示唆される。
主役の名前がダニーであること、また随所に配置された幾何学デザイン(ex.ヒックスペンタゴン)や浮遊感のある移動シーンによってシャイニングを想起した。
逆さまになり道を示すカメラは、これから主人公たちの価値観が転倒することの暗示。
依存や悲しみから解放されたメイクイーンは、ドラッグの判断ではなく、本心から微笑む。
アリ・アスターらしいハッピーエンドでした。