千年女優

ミッドサマーの千年女優のレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.0
精神病を患う女子大生で、同じ様に精神疾患を抱えた妹の両親を巻き添えにした無理心中によってトラウマを抱え、彼氏の重荷となる事を心配するダニー。それを肌で感じ別れを切り出せない彼氏とその友人達と共に90年に1度の夏至祭を開催中のスウェーデンの田舎町を訪れた彼女らが、世にも恐ろしい体験をする様を描いたホラー映画です。

自らの体験を寓話化した初の長編監督作品となる『ヘレディタリー』で絶賛を集めたアリ・アスターが手掛けた長編第二作目で、前作と同様にA24スタジオの力を借りた素晴らしいクオリティの映像で捉えた北欧の田舎町を舞台に、お互いを支え合うはずのカップルの中に生じる感情のすれ違いから失われる「共感」をテーマに物語を綴ります。

流石の映像美で北欧らしい不条理ホラーを展開していくパワーのある作品で、その演出と熱演を見せるキャストの力強さが牽引して二時間半の長尺を支えます。それでも、肝心の主題である「共感」のなさとその裏腹の押し付けの恐怖が「設定」や「奇行」に頼って人間関係で綴れていないのでは相乗効果は薄く、本末転倒の感もある一作です。
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