このレビューはネタバレを含みます
前作「ヘレディタリー／継承」で、どうやらアリ・アスター免疫がついたらしく、この「ミッドサマー」はとても楽しく見ることができました。
前作のひたすら暗くて寒々しくて薄気味悪い世界観から一転して、本作はひたすら明るく美しくのどかで…でもやっぱり薄気味悪いです。
この牧歌的で絵画のような風景の中で、凄惨なイベントが繰り広げられる様が病みつきになって、もう何度観たことか。
ホラー映画とはいえ、ショッキングな場面は３～４回だけでしたが…最初から最後まで持続する不穏な空気はまさしく恐怖そのもの。
何回も観てしまう理由のひとつは、フローレンス・ピュー。ウザ可愛さがいい感じ。
真ん丸な顔に庶民的な体型が逆に魅力的。
何よりも彼女の演技が凄い。
情緒不安定なヒロインが不気味なコミューンの中を彷徨いながら、いつしか癒され(侵食され)ていく過程を見事に演じています。
最後の、花々にとり囲まれて、救われたようにも壊れたようにもみえる、あの表情がなんとも…(どういう感情だとあの顔になる？)
171分のディレクターズ・カット版が、いま猛烈に観たい私も、この世界に囚われたのかもしれません。
