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西ベイルートの821のレビュー・感想・評価

西ベイルート(1998年製作の映画)
3.9
毎年行こう行こうと思いつつ行きそびれてた、念願のイスラーム映画祭にて鑑賞!

1970年代、レバノン内戦の勃発の瞬間から内戦へ発展していく様子を、中学生ぐらいの少年の目線から描いた映画。恋や性と好奇心を孕んだ思春期特有の青春物語から、止められない戦禍に巻き込まれていく家族、家族の絆と愛情、そしてレバノン内戦。盛りだくさんの要素が詰まった作品でした。

レバノン🇱🇧は「中東のパリ」と呼ばれていただけあって、西洋と中東のオリエンタリズムが融合したようなノスタルジックで美しい家や街並みが映画の中で印象的で、70年代のファッションと相まってすごく味のある雰囲気を醸し出していた。
そんな雰囲気と時折流れる軽快な音楽とは対照的に、おそらく実際のもの織り混ざった戦時中の映像が流れて、日常と、戦争という非日常が隣り合わせになっていることをまざまざと感じさせられた。

ストーリーテリングとしては、要素が盛り込まれすぎてトゥーマッチ感がちょっとあって、コロコロと変わる登場人物たちの心情についていけない感があった。でも、上映の後のトークショーを拝聴して、この映画は内戦終結後に成功した初めてのレバノン内戦を描いた映画、と聞いて、存在そのものが、映画史上とっても重要な作品なんだなあと感じた。

「判決、2つの希望」の監督のデビュー作とのこと。上記の通り青春映画の要素が大きいので、観やすいと思います。
70年代、青春、一部『君の名前で僕を呼んで』に通じるエモさがある。

最近レバノン内戦関連の映画よく巡り合うから、これを機に徹底的に観てみようかな、と思う鑑賞でした。

2019: 劇場 9
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