一人旅

シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢の一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ニルス・タヴェルニエ監督作。

フランス南東部ドローム県オートリーブに現存する「シュヴァルの理想宮」の制作者であるジョゼフ・フェルディナン・シュヴァルの後半生を映像化した“芸術+伝記ドラマ”の秀作です。

19世紀後半、フランス南東部の田舎町オートリーブで郵便配達員として働いている寡黙な中年男性フェルディナン・シュヴァルが、仕事の途中で躓いて転んだ奇妙な形の石を自宅に持ち帰ったことをきっかけに、庭先に自ら収集した石を使った宮殿の建造に取り組んでいく様子を、彼を支える愛する妻子との関わりを軸に描き出した伝記映画で、約33年の歳月を費やして完成に至ったアウトサイダーアートの最高峰「シュヴァルの理想宮」の建造秘話を紐解いていきます。

宮殿建造に人生を捧げたシュヴァルの不器用&意固地な生き様とその偉大なる成果を、愛と喪失の家族ドラマと共に素朴なタッチで描き上げた芸術家映画の秀作で、彼が遺した理想宮の細やかな装飾や全体像を映したショット等、現存する理想宮で実際に撮影された映像も見所となっています。
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