CureTochan

ナイル殺人事件のCureTochanのレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
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もし「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を観たことない人が、時短のために「ファースト映画」で観ようとしていたら、あなたはどうするか。普通は止めるだろう。

話は早速それるが、「ファスト映画」などとfastの外来語を"ファスト"に変更した学力の足りない人たちこそ、全員ナイルの藻屑となってもらいたいものだ。そもそも、最後のtの音だって「ト」とは違う。日本語には余計な母音があり、英語にはアクセントがあるからだが、その結果として、英語と音が近いのはファーストだし、外来語、つまり日本語としてもそれで定着している。もしどうしてもファストと書きたいなら、Top Gun Maverickも「マヴェリック」に改めてもらいたい。

話を戻すと本作を、原作の小説を読まないで映画から観るのはおすすめできない(観てないけど)。犯人のビジュアルだけはガッツリ頭に残るから、永遠にこの最高な、80年前の小説で驚くことができなくなる。伏線が好きな人には、特にピッタリだ。長編小説は、ちゃんと考えながら読むと8時間かかる。映画と違って本は、わからない点があれば戻れるし、集中力が落ちたら待ってくれる。それほど情報が多いものを映画化したら、それはファースト小説なのである。

先週、この「ナイルに死す」を再読したんだけど、肝心なポイントを忘れていたために最後まで楽しめた。この短さで、それほど解決すべきナゾが多い話なのだ。電子書籍の時代になって、キャラの名前で検索もできるので、外人名が憶えられなくて苦労することもない。なにより、笑えるシーンが多い!それもキャラクターが、特に端役が生き生きしているからである。クリスティに比べたら、JKローリングも凡人に見えるが、いずれにせよイギリスの女ってスゴイ。

本作のミステリ的なクライマックスは、聞き手が少人数なために絵的には非常に地味で、映画に向いてない。そこがどう処理されているのか気になるが、前作「オリエント急行」の出来からして、特にあのポワロが善人すぎて魅力がないので私が鑑賞することは多分ないだろう。あの監督には、ハリポタのバカっぽい先生役が合っている(マイティソーの演出は最高だったけど)。さらに邦題も、せめて「ナイルに死す」のままにしてくれないとオチの顛末が生きないのに。
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