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ラストナイト・イン・ソーホーのkuuのレビュー・感想・評価

3.9
『ラストナイト・イン・ソーホー』
原題 Last Night in Soho.
映倫区分 R15+.
製作年 2021年。上映時間 115分。
タイトルは、ポップバンドのミック&ティック・デイヴ・ディー、ドージー・ビーキーの1968年の曲 "Last Night In Soho" から取ったそうで、
エンドクレジットで流れている曲です。
映倫区分 R15+.
製作年 2021年上映時間 115分エドガー・ライト監督によるタイムリープ・ホラー。
エロイーズ役をトーマシン・マッケンジー、サンディ役をアニヤ・テイラー=ジョイがそれぞれ演じる。

エロイーズ(トーマシン・マッケンジー『ジョジョ・ラビット』2019年)は、完璧に折り目をつけた新聞紙で作った自分でデザインしたこれがマタ可愛いドレスを身にまといながら、ピーター&ゴードンの『愛のない世界 原題:A World Without Love』を表情豊かに踊って映画は始まる。
彼女の部屋は1960年代の色彩と記念品で埋め尽くされてて、すぐに彼女が祖母)に育てられた孤児であることが分かる。
エロイーズ、またはエリーと呼ばれる彼女は、母親と同じようにロンドンへの道を歩むことを夢見ており、ロンドン・ファッションスクールから合格通知を受け取ったときは、この上なく感激する。
しかし、エリーは母親の精神病という重荷(と幻影)を背負っており、祖母はロンドンは大変なところよと忠告する。
小さな町(コーンウォール)のエリーは、臆病で大きな瞳の無邪気さでロンドンに到着し、すぐに意地悪な女の子で同じ学生のジョカスタ(シノーブ・カールセン)のターゲットにされる。
エリーは、そのような意地悪を受けるよりも、老女の大家であるコリンズ夫人(偉大なダイアナ・リグが最後に出演した作品)から屋根裏部屋を借り受けることにした。
エリーはこの部屋と独立した生活を気に入っていたが、彼女の夢は、彼女が大好きなスウィンギング60年代への入り口として作用する。
しかし、それはまだ始まりに過ぎない。
ここで彼女はサンディ(アニヤ・テイラー=ジョイ)を追いかけ、サンディになり、鏡の効果はまさに別世界のものだった。
サンディは、自信に満ち、輝き、野心に満ち、美しく、エリーが自分自身でありたいと願うすべての人である。
この夢の状態によって、エリーはサンディになりきって生きることができる。少なくとも最初は。。。

エリーとサンディのシークエンスは、巧みな方法で頭を混乱させる。
サンディはクラブのダンスフロアに浮かんでいるように見え、エリーは最初は魅了されるけど、やがて保護欲を抱くようになる。
サンディがいかがわしいジャック(マット・スミス)と出会い、彼女が望むスターダムを手に入れることを約束する代理人志望の人物に出会うと、トーンは一変する。
そして、アニヤ・テイラー=ジョイがペトゥラ・クラークの『恋のダウンタウン 原題:Downtown』(1964年)を息の合った善きバージョンで歌う。
この曲は今作品のハイライトとも云え、物語を再び変化させる瞬間でもある。
今作品のペースにチョイ置いてかれそうになる。。。
ソーホーの華やかさは、繰り返される夢が悪夢に変わり、エリーの起きている時間さえも超現実的なものになる。
エリーは謎を解くのに必死で、イケメンジョン(マイケル・アジャオ)のロマンチックな誘いには気づかない。
カフェ・ド・パリ、ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じたシリーズ第4作『007/サンダーボール作戦』(1965年)を宣伝する巨大な劇場看板、ビートルズが発掘したシンガーというシラ・ブラックの『ユー・アー・マイ・ワールド』など、60年代のノスタルジックな映像も見どころでした。
今作品はアニヤ・テイラー=ジョイと(特に)トマティン・マッケンジーの素晴らしい演技のおかげで、そんなんあり得へんのがありそうにプチ感じる程善かった。
彼らのキャリアの発展を見守ることができるのは幸運なことかな。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)や『ベイビー・ドライバー』(2017)を皮切りにしたエドガー・ライト監督、ライトとサイモン・ペグ脚本、ナイラ・パーク製作、ペグとニック・フロスト主演という体制の元、イギリスとアメリカで製作されたB級コメディ映画3作品の総称である『スリーフレイバーズ・コルネット』で彼の仕事を知っている人も多いかな。
今作品では、タイムトラベル、殺人ミステリー、ソーホーの歴史、シュールな夢と幽霊のシーン、ロマンス、スラッシャーシーンを提供してて、
特に個人的にはサウンドトラックにやられました。
今作品の多くが1960年代に設定されているため、サウンドトラックは善き時代を描ける曲で満たされています。
ライト監督の動きのある編集と相まって、完璧な調和を想像することができました。
このサウンドトラックは、今作品の心理的な性質にも貢献してたし、ライト監督が時折サイケデリックな風景を見せるのも、ごく自然に感じられました。
ジャンルの間を遊び心を持って行き来する面白い作品でした。

禁酒して幾年たちますが、カクテルで徒然に。

今作品で登場する
『カクテル・ヴェスパー』
007シリーズは原作者のイアン・フレミングが酒好きなのも相まって、映画好き(特に007好き)には知る人の多いカクテルになったカクテルの一つ。
個人的にはイギリス紳士の嗜むカクテルのイメージがあるかな。
男らしく知的で、なおかつかっちょエエ。
禁酒してなかったら今夜はヴェスパー飲みに行ってるかな。
因みに小生、禁酒前は映画にちなんだカクテルを好んだ。
日本のバーにはレシピを告げなきゃ作れないバーテンダーが多かったのは悲しいけど。
アーモンド風味の芳しさと甘さが濃厚なウイスキーの味わいを包む味わい深いカクテル、ゴッドファーザーや、
ブランデーと上品な甘さのアマレットを組み合わせたカクテル、フレンチコネクション。
若しくは、カクテル名は“錆びた釘”という意味をのカクテルスティルネイルを好んで頂いてた。
このスティルネイルは特に好きで、スコッチウイスキーとドランブイのミックスは、野生黒蜂蜜の香りセピア色が、懐かしい映画を連想させる。
過去、スティルネイルから、フレンチコネクション、そして、ゴッドファーザーと云う順に判をついたように注文して飲み映画を思った。
今はコカ・コーラとペプシコーラ、それからコーヒー牛乳で映画を観るのも乙かな。
因みにスティルネイルだけは、ミキシンググラスでステアして、カクテルグラスに注ぐ方法で注文する。
コーヒー牛乳は、グラスにジョージアのペットボトル入り甘味押さえ目を7分目、濃い牛乳を2分目、自家製キャラメルソース気分で入れ、氷入れ
ステアして一気飲み。
コーヒー牛乳はでないが、そんな映画に度々出るカクテル。
今作品に登場するカクテルは、ヴェスパー。
ジンとウォッカ、それにキナ・リレ(Kina Lillet、現名: リレ・ブラン)と氷を入れ、シェイクして作るカクテルでマティーニの一種かな。
007オリジナルのカクテル・ヴェスパーは007ファンにはお馴染みレシピがある。
ゴードンズのジンを3オンス、ウォッカを1オンス、キナ・リレ半オンスに氷を加え、単に混ぜるだけではなく、氷で冷たくなるまでよくシェイクし、大きめに薄く削いだレモンの皮を入れるてな感じ。
今作品もこの手のカクテルが似合う時代にトリップし、禁酒生活ながら酒なしで酔えて楽しめた作品でもありました。
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