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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいのregencyのレビュー・感想・評価

2.5
『WANDA/ワンダ』、『私、オルガ・ヘプナロヴァー』などなど、一筋縄ではいかない芯が通った映画を配給するクレプスキュールフィルムがまたやってくれた。
父親に虐待を受けてしまったために情緒不安定となってしまった9歳の少女ベニー。グループホームや特別支援学級など行く先々でトラブルを起こす彼女は、母親と一緒に暮らしたいと願うも、当の母親は…
全編とにかく救いがない。母親も、親子をケアしようとする者達の立場も分かるゆえに、無下に非難できない。非暴力トレーナーのミヒャとの生活により心が開きかけるも、それも持続が難しいベニー。彼女は決して優しい気持ちを持てないわけではない、だからこそ余計辛い。ラストの解釈は観る人によってまちまちだろうけど、『大人は判ってくれない』とダブったのは自分だけだろうか。チャニング・テイタム主演でハリウッドリメイクが決定しているとの事だが、はてどうなるか。
とにかくベニー役のヘレナ・ゼンゲルの演技がすさまじい。ハリウッドデビュー作『この茫漠たる荒野で』では言葉が通じないながらも、トム・ハンクス扮する主人公と次第に心を通わせていく少女を演じていたが、スタッフは間違いなく本作を観てキャスティングしたはず。末恐ろしい女優がまた登場した。
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