福福吉吉

レディ・ジョーカーの福福吉吉のレビュー・感想・評価

レディ・ジョーカー(2004年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
日之出ビール社長・城山恭介が「レディ・ジョーカー」と名乗る犯人に誘拐される。警察は捜査を開始するが、一向に糸口が見えない。そして、犯人は突如、城山社長を解放して、警察を翻弄する。

◆感想◆
大手ビール会社を相手に営利誘拐する犯人グループとそれを取り巻く会社、警察などの関係やそれぞれの動きを描いた群像劇となっており、犯人グループ「レディ・ジョーカー」の特殊性が際立つ作品となっています。

犯人グループ「レディ・ジョーカー」は職業も年齢もバラバラで各自で犯行理由が異なる中、一つの犯行を行っているため、犯人側の意図が読みにくく、犯人を絞り込めないようになっていて、観ていて犯人側が捕まるイメージが一切わかない不思議なミステリーとなっていました。
しかし、日之出ビールがターゲットとなる理由としては被差別部落への差別行為に端を発しており、未だに部落差別という理不尽なものが横たわっていることに呆れてしまいました。

「レディ・ジョーカー」の構成員は

(1)物井清三(渡哲也)
薬屋の店主。兄が日之出ビールを解雇されている。
(2)半田修平(吉川晃司)
刑事。本件の捜査班に入っている。
(3)布川淳一(大杉漣)
トラック運転手。重度の障害を持つ娘がいる。
(4)高克己(吹越満)
信用金庫職員。株式に投資している。
(5)松戸陽吉(加藤晴彦)
工場の作業員。一番若い。

の5人であり、競馬場で知り合っただけの繋がりだが、物井清三のリーダーシップに従って、見事に計画を遂行する。俳優陣がそれぞれの個性を上手く演じていて、薄い繋がりなのにどこか結束力に満ちた感じを醸し出していて面白かったです。

本作では警察が犯人に翻弄される様子が描かれていて、一応、若い合田刑事(徳重聡)が中心人物として描かれるものの、あまり活躍の場は無く、今ひとつな感じのまま、終わってしまいました。

そして、日之出ビールの対応がかなりリアルで城山社長(長塚京三)を始め、上層部が利益重視で警察をないがしろにして犯人側と取引しようとする姿が印象的でした。

しかし、終盤の流れはもう一つ説明が欲しい気がしました。一応、察するだけの描写があるのですが、もっと映像で欲しかったです。

なかなか面白かったと思います。犯人グループの個性が際立った作品でした。

鑑賞日:2023年11月19日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2023年11月4日)
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