まい

パパと見た星のまいのレビュー・感想・評価

パパと見た星(2018年製作の映画)
3.6
才能溢れる映画監督の父親は突然訪れた妻の死からシングルファザーとなり、仕事も無くしアルコールに溺れ、堕落した日々を過ごす。

そんな中でも父親の"映画"への愛は収まることを知らず
過去の栄光にすがり付く夢追い人となる。

その横で父親を支え、父の実現し得ない夢物語をキラキラと瞳を輝かせる息子の姿に心が痛む。

息子は父親の嘘を最初から全て見破っていて、でも父親との時間が大好きで、父親が語る映画の話が大好きで
完成される事のない映画の撮影が大好きで。

大人びた子どもに見えるけど
怪獣映画を観ている時の眼差しはやはり子どもだった。
口汚い言葉も多々使うけど
本当は心の奥底でずっと色んなことを溜め込んでいたんだろう。不安や葛藤も沢山あったんだと思う。


父親の描く映画の世界は子どもの頃に戻されたような感覚になる。

小さい頃は宇宙にだって行けると思ってたし
空だって飛べると思ってた、怪獣はほんとにいると思ってた。魔法が使えると信じてテレビの真似事して色んな呪文だって唱えた。そんな事をふと思い出す。


無くしたもの、もう会えない人、宇宙、怪獣、満点の星空、空飛ぶ洗濯機。




父親の想像膨らむ脚本の話は
SFファンタジーのように見えて、彼の現実と交差していて
脚本を語るにつれて、自身の現実と向き合うキッカケとなり
ラストはなんとも儚く切ない終わり方だった。

決していい父親では無かったかもしれないけれど
息子にとっては唯一無二の父親で
父親にとっても息子は唯一無二の存在で。




何とも不思議な世界観あふれる映画でした。
まい

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