Norisuke

パパと見た星のNorisukeのレビュー・感想・評価

パパと見た星(2018年製作の映画)
3.7
才能溢れる映画監督だった男は妻を亡くし、シングルファーザーとなって息子を育てながら過去の栄光と酒に溺れる日々。息子は学校で問題行動を起こしているが、父親が話す映画の脚本の話が大好きで…な話。
うん、嫌いじゃない。むしろ好物だけど、微妙に惜しいところがあって感動作!!というところまではいかなかった映画。オフビートな『ニュー・シネマ・パラダイス』といった趣か。
撮る撮る詐欺で酒に溺れ、タバコをふかす駄目親父が語る荒唐無稽な物語をキラッキラな目と声で受け入れる息子という対比が物悲しい。仕事一筋で妻に先立たれ、ことあるごとに亡くなった妻の幻影を見る男はなんとかして息子にまともな生活をさせてやりたいと奮闘するものの、ことごとく空回りして上手く行かなくなり、また自棄になって酒とタバコへ…という悪循環。「どうしようもないクズだけど、善人なのよ」というお姉さんの言葉通り、映画を撮る情熱は誰にも負けない善人であるがゆえに生活が疎かになって空回りするところがとても共感できて切なかった。
安っぽい、と感じさせる映画のシーンも、本当に安っぽいわけではなく演出で、しっかりとCGが使われていてグリグリ動くのは面白い。ラストシーンの廃墟遊園地も、いい未来を感じさせる流れでよかった。
Norisuke

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