南

The Enchanted Drawing(原題)の南のレビュー・感想・評価

The Enchanted Drawing(原題)(1900年製作の映画)
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四文字熟語の「画竜点睛」は、「壁画の龍に目を描き入れるやいなや本物の竜となり壁から飛び出した」という故事に由来する。

現代のアニメ・漫画・ゲームでも「絵に描いたものを具現化させる」という能力はおなじみだ。

このように、古今東西「二次元と三次元の垣根を超えられたら楽しいな」という想像は普遍的な魅力を持つ。

最初期のアニメーションである『The Enchanted Drawing』は、トリック映像を用いてその夢を叶えた作品。

実写(おじさんのライブドローイング)とアニメ(おじさんの絵が動く)を融合させた画期的なアプローチが特徴だ。

「キャンバスに描いたグラスやワインを現実のものとして取り出す」
「絵の中のおじさんにワインを飲ませると嬉しそうに微笑む」

というアトラクションが楽しめる。

みんなでヴォードヴィル劇場に集まり、歌やダンスと並列の扱いで数十秒のスペクタクル映像を観ていた19世紀末〜20世紀初頭の観客たち。

彼らがどんな印象を受けたか想像することも、この時代の映像を楽しむ方法の一つだなと思う。
南