河

Mammy Waterの河のレビュー・感想・評価

Mammy Water(1953年製作の映画)
4.8
海によって生活が成り立つ、海によって生かされているようにも海と共に生きているようにも見える民族がいて、その民族にとって死は悲しみでも喜びでもあるってナレーションがあって、その両義的な捉え方をされる死が海に重ねられる。
牛の血を捧げることで、海から魚が大量に取れるようになるけど、白い牛の血によって赤く染まる海の鮮烈さ、死骸感の強すぎる網に絡まった魚達や落ちて物質的にバウンドする魚のショットによって、海が死に対して死を大量に吐き出したように見える。
この海への畏怖のような感覚と、それと楽しそうに戯れる人々への絶対に馴染めなさそうな外部からの視線がある。大漁のシーンがその無邪気さと相まって割とかなり怖く、それに応じて観客側にいるだろうナレーターの声も消えていく。
不漁→儀式→大漁っていう流れになっていて、この後また不漁になって儀式が行われることを予感させる構成になっている。この死を司る海との戯れが永遠に繰り返されていくような感覚がある。

画面の緊張感に加えて、日差しの強い白基調の画面の中に白い衣装の王と白い牛がいて、青い海があって肌の色は黒くてっていう鮮やかな色彩がよりおどろおどろしさを増しているように思う。白い牛から出た血で海が赤く染まるショットは本当に鮮烈で、その色彩の鮮烈さによって死んだ魚の鈍いグレーの色がより際立っているような印象があった。
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