ひろ

宮本から君へのひろのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.0
新井英樹の漫画「宮本から君へ」を真利子哲也が監督・脚本を務めてテレビドラマ化し、その続編を同じキャストで映画化した2019年の日本映画

見るだけで1万キロカロリー消化する。そんな映画。そう言えるぐらい熱量が半端ない。とにかく疲れる。疲れたのを取り返す爆発的な後半。火山のように噴火しています。不器用なサラリーマン宮本の生き様を描いた内容。面白いのは原作の漫画の前半パートをドラマで描いていて、後半の激動の日々を映画化したということ。ドラマを観て見ていなくても楽しめる作りは、監督の手腕かな

宮本が運命の人・靖子と出会い、とんでもなく辛い経験をしながら血だらけで笑う作品。なんのこっちゃだろうけど、この作品をざっくり語るのは難しい。背脂ラーメンで言ったら特盛り鬼脂全部のせである。こんな濃厚なラーメン食べたら胸焼けするのだ。飲み込むのも辛くなるぐらい攻めてくる。魂と魂のぶつかり合い。宮本も靖子も燃えている。炎上しっぱなしなのだ。こんな疲れる作品は久しぶりだ。でもラストの方の宮本の炸裂ぶりは感動すらする。この作品はを恋愛映画と位置づけていいかは不明だが、人生賛歌としては最高だ。100人中5人ぐらいは号泣するかもしれない。響く人にはきっと響く

宮本役の池松壮亮がとにかく半端ない。まあ頭の悪い不器用な男である宮本。呆れちゃうぐらい愚直。でも憎めないキャラクター。アホだなあって気持ちで見ているんだけど、いつのまにか宮本を応援している自分がいる。人生をかけたケンカのシーンからの宮本爆発。最高だね。ヒロインの靖子役は蒼井優。体当たりの演技と言われるだけの役柄。見ていて辛くなるがパワーはすごい。蒼井優って非日常的な役ばかり選ぶ気がする。だから山ちゃんと結婚して日常に安らぎを得たのかな。映画になると別人。これこそ女優。ピエール瀧なんかいい脇役だよなあ。もったいない。松山ケンイチとかやたら豪華な脇役はテレビドラマのつながり

エンディングで流れる主題歌「Do you
remember?」を歌うのはエレカシの宮本浩次。宮本から君へで宮本かい!と思ったら、そもそも原作者が宮本浩次のファンだから主人公が宮本らしい。エレカシ好きな作者だから、こんな熱い作風なのかな。好きな人に主題歌を歌ってもらえて嬉しかっただろうなあ。この曲は映画に合ってるんだけど、宮本さんにしちゃパンクだなあと思ったら、ギターと共同プロデュースを担当するのはハイスタの横山健。いいエンディングロールだった。意外とシメの音楽って大切だなあと改めて感じた

絶対見たほうがいいよとはR指定だし言わないけれど、まあ見たら突き刺さるよとは言えるかもしれない。どう突き刺さるかは人次第だけど、1万キロカロリー消費したいなら挑戦してみてください
ひろ

ひろ