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花々のchaooonのレビュー・感想・評価

花々(2018年製作の映画)
3.0
ジャケットに惹かれて鑑賞。
去年2019年のMFFFのショートの一本だった作品。

亡き夫の墓前に備える花を探す母親。
気もそぞろで渋々それに付き合う息子。
ゼラニウムの花に拘る母親のその様は、狂気を帯びている。

母親がとにかく独りよがりで酷い。
ただただ理不尽で不快。息子が可愛いそう。
そう言ってしまえば、それまでなんだけど…。

極端に寄ったカメラワークも、2人の表情の写し方もなんだか不安を煽られる。音の入りもなんかそんな感じ。

夫を亡くしてどれくらい経つのか分からないけど、そのことで心を乱し、シングルマザーで日々の疲れがでているのか…苦労が外見にも滲み出る。
きっと思春期の息子に手を焼いて、しんどい生き方をしているのだろう。
きっと自分の手から間もなく離れて行く、息子の姿に焦燥感もあるのだろう。
車の外に物を投げ捨てる様や、息子に投げかける言葉の端々からも、素行の悪さを感じる。

ゼラニウムと聞くとアロマのイメージが強いのだけど、そもそも花の一種なんですね。
中世ヨーロッパでは、悪霊を追い払うと信じられており、玄関先に魔よけとして植えられていたとも言われているそう。

ゼラニウムは、心身を整えあらゆるバランスの乱れを整えてくれる香りとして、親しまれているアロマの一つ。特に女性特有の悩みに寄り添い、不安をやわらげたいときに最適で、自然と前向きになれる効能があるとか。
まさにこの母親に必要なものだなと。

今日自分の息子にも「今日はなんでそんなにイライラしてるの?」って言われた。
体調が悪くて負のオーラが出ていたのか、今日の私はトゲトゲして、理不尽だったのかも。
完璧な母親でいるのは難しい。
でも、こういう作品を観て、自分を戒めるのは大事だな。
私もゼラニウムの香りを嗅いで寝るとしよう。
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