140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ONE PIECE STAMPEDEの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ONE PIECE STAMPEDE(2019年製作の映画)
3.6
【ドキッ!海賊だらけの大運動会!!~ポロリは微妙~】

私、「ワンピース」は好きではございません。空島編以降見ておりません。あの「ワイルドスピード」みたいなファミリーが制御不能みたいなノリにはついて行けません!しかしながら“祭り“とはあらばウォッチメンの監視業務として見回るモノ。そして監督は私が誠に勝手ながら“和製マイケル・ベイ“と期待している大塚隆!

結果はですね…
面白い!!

この全員集合感!
アベンジャーズやプリキュアに先を越されている「ワンピース」ですが、大仰なまでに祭り祭りした映画は好みでございます。

「スタンピード」の意味は家畜などが大挙して押し寄せるという意味なのですが、この物量作戦にて表現する“祭り“の熱量とその背後、本作の適役になるバレットと仕掛け人フェスタの立ち位置が個人的に好み。ゴールドロジャーというレジェンド海賊が火蓋を切った“大海賊時代“の到来を悔しさという感情をもって眺めていたフェスタという男と孤独で鍛錬を重ねた化け物級のバレットという男。「ワンピース」という絵巻に影響を与えられない劇場版のキャラの悲しさはありますが、常に熱狂をクリエイトしたいという欲望と天下を取りたいという渇望が組み合わさることで、メタ的ではありますが映画自体が「ワンピース」というコンテンツの渇望に見えるからこそ愛おしい。海外へは「ドラゴンボール」「ナルト」が出て行く中、海を渡るべき冒険活劇の「ワンピース」がそれをなせなかったクリエイションとしての後手を思う存分にぶちまける上映時間の8割を締めるバトルシーンは圧巻。バレットの能力により巨大な怪獣映画と化した後半とそれでも劇場版ゆえの「ワンピース」世界には傷跡を残せない立ち位置が夢の如き集結と共闘を成すのは、花火大会的な刹那の魅力と、交通整理を無視したキャラのすし詰め感が楽しかったです。海軍の「バスターコール」に際しての船団迫力の無さとタイムリミットサスペンスは弱いのですが、不意に祭りに足を踏み入れて「ワンピース」というコンテンツを見せびらかすのには充分な熱量でごさいましょう。