復活のよにだ

リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様の復活のよにだのレビュー・感想・評価

3.5
連載から20年以上が経ち、新規の人が入りにくいファンダムを築いてしまっている事を憂慮した原作者が新しく生まれ変わった、新しい人もここから楽しめるテニプリを目指して作られた劇場版、それがこの

新生劇場版テニスの王子様
リョーマ!

である。
時系列的には原作コミックス終盤の決勝戦と新しく連載中の間の話だが、今作の冒頭では越前vs幸村の決勝戦試合が再現され、コアなファンもびっくりの新解釈がブチ込まれる。

そう、冒頭10分でどういうテンションでこの映画を観るべきなのか説明してくれる超親切設計なのだ。
このシーンのおかげで小さな違和感に躓く事なく、全編振り落とされる事となくずっと楽しめた。
冒頭の掴みの上手さだけで言ったら同日公開のシャンチーと同じレベルと言える。


正直、タイムスリップするとか、本当に"急に"歌い出す、ところ以外では過去のセルアニメ版の劇場版2作の方がぶっ飛んでいた気もするが、今作は全編にその狂気が蔓延してるのが素晴らしい。

キャラ全員の状況把握能力が光の速さだったり、いや大事な所でテニスじゃなくて無茶行動なんかいとか、シートベルトに対する絶対的信頼とか、普通にホテル泊まれやとか、突っ込むのも含めて漫画本編と同じ楽しみ方である。


ネットではプレステ2なんて言われているが、正直漫画やテレビアニメのキャラの印象を損なわないクオリティのCGで全然悪くないと思う。
アジア系のCG会社を繋げて日本から指示を出す新しい日本アニメの制作の形はスタッフロールのアルファベットの多さに現れている。


驚くべき点は作中の歌が全て作詞作曲:許斐剛な事ですよね。
漫画家に収まらない、エンタメクリエイターのお手本のような方だ…。
その情熱全てが入った作品、新宿では大きなスクリーンがけっこう埋まっていたが、興行的に成功を祈るばかりである。
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