Kota

行き止まりの世界に生まれてのKotaのレビュー・感想・評価

3.7
“人生は猛スピードで過ぎていく。だけど大人になんてなりたくない。”

イリノイ州の街に住む三人の少年。その一人ビンがカメラを持ち、自分と二人の親友ザックとキアーの半生を10年以上撮り続けたドキュメンタリー。映画としてはかなり個人的な物語だからこそ飾り気のないリアルな人生が映し出される。

スケボー少年達のドキュメンタリーかと思いきや、“6歳の僕が大人になるまで”のような実際の人々が時間と共い成長したり、出会いや別れを繰り返すテーマだった。脚本ではない本音の言葉達と、実際の年月をかけて撮られたこの作品はフィクション映画には到底表現できない魅力と深さを感じさせる。撮影もクオリティが高く、素人が一から撮ったとは思えない。特にスケボーで街を滑るシーンは監督のビンもスケボーに乗りながらならのシームレスな撮影だったからこその美しさ。後半の一人一人のショットが少年期から青年期まで無造作に溢れ出すシーンがとても好き。

気づけば実家を飛び出していて、子供ができていて、友達とは疎遠になって、そんな誰しも感じるであろう“大人になったというのは自分では気づけない”ということが90分に詰まっている。ラストシーンを見てから冒頭を見ると明らかに彼らは大人になっているのだけれど、映画を観ている間はそれを感じなかった。それがリアルな時の流れなんだろうな。
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