マルクス4兄弟の末弟ゼッポが最後に出演した5本目の作品で、ファシズムをナンセンスな笑いで風刺した反戦映画だ。
ファシズムを痛烈に批判した映画と云えばチャップリンの『独裁者』を真っ先に思い出すが、本作はその7年前、奇しくもヒトラーが台頭を表す1933年に公開された。
真っ向から“戦い”挑んだチャップリンに対して、まだ時代に余裕があった彼らは終始ドタドタ劇に徹底し、そのコメディスタイルは後のクレージーキャッツやドリフターズに多大な影響を与えたエピソードは有名。
宣戦布告「祖国は戦争に入れり」で狂喜乱舞する様子は、もはや笑いを通り越した恐怖であり、今でこそアメリカ国立フィルム登録簿に登録されてはいるもの、資料によれば公開当時は不評だったというのも頷ける。
巧みな言葉遊びや合わせ鏡のシーンは舞台芸そのもので、そうした笑いと狂喜を絡めたライブ感が、マルクス“兄弟”主義なのだと改めて実感した。
64 2021