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影裏のkuuのレビュー・感想・評価

影裏(2020年製作の映画)
3.5
『影裏』
製作年2020年。上映時間134分。
沼田真佑の小説『影裏(えいり)』を、綾野剛と松田龍平の共演で映画化したヒューマンミステリー。
綾野剛、松田龍平、筒井真理子、中村倫也、平埜生成、國村隼、永島暎子、安田顕といった日本映画界を代表するキャストが集結
製作陣に松田美由紀の名前があったなぁ。松田龍平はふとした時母ちゃんより、父ちゃんに似てるなぁと思う。
中村倫也そこで来たかぁ。
沢尻エリカが出演者に名を連ねてたらしいが(ホンマでっかで読んでください)どの場面でどないなキャラだったんかなぁ。

今野!!!そこに愛はあるんかぁ~           byおかみさん

転勤で岩手に移り住んだ今野は、慣れへん土地で出会った同僚の日浅に心を許し、次第に距離を縮めていく。
2人で酒を酌み交わし、釣りをし、遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は心地よさを感じていた。
せや、ある日突然、日浅は何も言わずに会社を辞めちまう。
程無くして再会を果たした2人やったが、一度開いた距離が再び縮まることはなく、その後は顔をあわせることなく時が流れていく。
そしてある時、日浅が行方不明になっていることを知った今野は、日浅を捜すが、その過程で日浅の数々の影の顔、裏の顔を知ってしまう。

いろんな状況で人は時と場所を選ばず少数派(マイノリティ)になる。
そういうものを見逃さず掬い取るんが文学やと思う。
『影裏』は、その意味も踏まえ文学作品の範疇と云える。
この作品はホンマ示唆ありきの映画やなぁ。
川や雨と云った、水、
ベランダの窓から差し込みカーテンをゆらす風、
山火事といった火、
そして至るとこに光と影。
そないな自然現象のすべて意味を持ってるかのように演出されてる。
その均衡や色彩によってキャラの特徴やったり、心情とか関係性の移り変わりや、ときには予兆してたりする。
深読みかも知れへんけど。
そやいな意味じゃ、カメラの“目線”が非常にペラペラ話してくれるし、セリフは少ないかな。
文学が持っとる、行間の機知を映画の言語に変換ポチっとなした素晴らしい映画やと思う。
ただ、退屈になるくらいの間をどう取るかによって作品の見方も大きくわかれるんかなぁと。
裏影って題名だけあって、光と影の表現は繰り返しになるが巧いなぁ。
間接照明
車のヘッドライト
それらの配置の結果、画面には光と闇の得も云われんモンが生まれて、キャラに内在する何かを描いている。
また、いたるとこに散らされとるエロス。
これはこの作品の特長と云えるかな。目線と小道具(ザクロや下着だったり)
明らかに性的なニュアンスなんやと思う。
主人公今野と日浅ザクロを食べ合うシーンはエロチックやった。
今野が桃を食べるシーンあったかな。
親友モノと思わして~の◎◎ストーリーやって観ているうちにわかってくる構造すわ。

余談ながら、ザクロは非常に起源が古い果物で、古今東西の様々な説話や神話に登場する。
日浅と今野がザクロを食べるシーンで日浅が話す近所の婆さんの話しでもそうやけど、日本に古くから伝わる説話にもある、釈迦が子どもを食べる鬼神『訶梨帝母(かりていも)』に、子どもの代わりにザクロを与えていたって俗説から、『ザクロは人肉や血の味がする』と云われる所以になったみたいです。
俗説はあるけど、実際のザクロの味は人肉の味とは似て非なるので安心してくらはい。
綾野剛の呼吸が伝わってきて、 監督の眼を通した人間関係のマジに生暖かい歪みを垣間見せてくれた作品でした。伸び伸びとした切なさ、人は大切にしていかなきゃならんもんなんやなぁ。
最後に、作中互助会のDMの担当者の欄に記入された日浅の直筆の署名を見て、 今野は感情が込み上げて来て泪を流すの場面は、個人的見解ですが、日浅は震災で亡くなったか、もし生きていても裏の面を知る事が出来なかったままもう二度と会えない、 しかし、署名を書いた時は確実に存在していたちゅうことを思えば泪を流さずにはいられないんかなと思いました。
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