このレビューはネタバレを含みます
死のうと家出してきたサトと老人ホームを飛び出してきたくみの2人の婆さんの浅草漫遊記。若い頃の十朱幸代が大谷翔平そっくり。
くみこと北林谷栄がいきなり凄い顔の作り方。サトことミヤコ蝶々の方は見た目お上品。くみの江戸弁、サトの大阪弁がとても心地良かったです。
養老院のリアリティも凄くて楽しい。ジッパー上げ下げ爺さん。一番印象的だったのは誰かが死んで霊柩車に出されるシーン。そこまでネタにする思い切りの良さも素晴らしく、集まった老人たちのおかしみを活写しているようでした。
2人が別れてからは一転テンポも緩くなり、少しシリアスなムード。少しダレたようにも感じましたが、くみ婆さんのオチの付け方は素晴らしい。
現在と何も変わらない老人の構図が見事に映し出されていました。それに対比するような若者の写し方も良かったです。彼らが今やその老人。
古来普遍的な人間の有り様を、おかしみとともに見事に描いた名作でした。