ひろ

Fukushima 50のひろのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.2
門田隆将のノンフィクション書籍「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を原作に、若松節朗監督が映画化した2020年の日本映画

2011年3月11日、誰もが忘れることのできない災害、東北地方太平洋沖地震が起きた。さらに地震による津波により起きた福島第一原子力発電所事故。下手したら地震の被害どころではなかった日本を救うために最前線で命をかけたFukushima 50と呼ばれる人々。そんな英雄達を描いた作品だ

とにかく泣きっぱなし。涙腺崩壊
誰よりも危険な事を理解している現場の人間が、故郷の福島に住む家族や友達を守るために命をかけて原子炉の暴走を止めたという真実。ニュースではさらっと流されただけかもしれないが、日本が滅亡していてもおかしくなかった事故。唯一実名の所長の吉田さんは、現場を理解していない政府や本社と闘いながら日本を守った英雄。まあ事前対策に問題があったりもしたんだけど、それは映画では描かれていないのでよしとしよう

原発のある町に住んでるからすごく住民の気持ちがよく解る。この先どうなってしまうんだろうという不安。そんな住民を守るために、本当に命をかけてメルトダウンを防いだ現場の人達。もうかっこよすぎる。アベンジャーズなんか相手にならない。本物のヒーロー。逃げる人間もいる。それもよく解る。怖いもの。究極の危機だからこそ人間のうちなるものが出てくるんです。だから、危険な現場に向かった作業員は本当にすごい

映画では名前は伏せてるけど、東京電力の本社の対策本部や菅直人政権のポンコツ政府対策本部。安全性の低い原発を作り上げた自民党。本当にどうしようもない。アベンジャーズの敵の方が人間味があって好感持てるわ。上があんなだから現場が大変なんだよね。織田裕二が踊る大捜査線でめちゃくちゃ訴えてたのに変わらないね

所長の吉田役の渡辺謙。プライベートはポンコツだけど役者としては一級品。格が違うわ。現場のトップ伊崎役の佐藤浩一。いい役者なんだけど最近一気に老けたなあ。チャリに乗る人のイメージがすっかり定着した火野正平。麻雀プロ萩原聖人、じゅん役ではない吉岡秀隆など、みんな泣かせるシーンがあってよかった

演技どうこうより、中身が大事な映画なので、とにかくあの日の真実の一端をご覧ください。いま、普通に日本で暮らしている奇跡を感謝したくなります。ありがとうFukushima 50
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