チッコーネ

アルファ、殺しの権利のチッコーネのレビュー・感想・評価

アルファ、殺しの権利(2018年製作の映画)
4.0
ドゥテルテ大統領時代の超法規的措置を背景としたドラッグ・ウォーを描いているように見えて、実のところ監督が追求したのは、警察権力の腐敗。
他の映画であれば全編を割いて描くであろう、「シャブアジトへの突撃作戦」は冒頭であっさり成功、その代わり「押収されるべきシャブと金のどす黒い流れ」を、丹念に描いていく(フィリピン人も『シャブ』と呼称するのを、本作で確認可能)。

マニラ下層民および中流階級のリアルな生活環境が、背景に映し出されるのは興味深い。
市内各所に設けられたドラッグ検問もすごいが、入口にゴミ袋がうず高く積みあがる住居で子育てとは…、衛生環境が思いやられる。
また終盤は怒涛の展開。
所長に手渡された箱の中身は?、誰が彼を撃ったのか?、そして夫を失った女たちが見せる境遇の格差とは…、説明不足なのが却って怖い。

ゲリラ的なロケ撮影も多数。
カメラは終始手持ちで映像も粗めだが、近年作だからか、平衡感覚がやられるほどではなかった。
メイン男優陣が美形なのは、目に楽しい。