ねーね

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのねーねのレビュー・感想・評価

3.7
200分越えの長尺を感じさせない、重厚でスリリングな作品。
さすがのスコセッシ節といったところか、最後まで観客を飽きさせない。

いまでこそハリウッドも多文化社会への忖度ばかりしているけど、正直アジア人の私から見ても、白人は自分が白人であるというだけで社会の頂点に立っていると「無意識に」思っているはずだ。
そうじゃなきゃ、原住民に対してこんなにも傲り高ぶった態度をとれるはずもない。
自分たちが「管理」してやってるなんて、反吐が出るくらいの差別主義者。
そんな時代の中で、なにかが悪いと思いながらも決して上に逆らえずに罪を重ねるディカプリオのような男がきっとたくさんいたのだろう。
妻とのあいだに愛はあったのだ、私はそう思う。
だからこそ悲壮感にあふれるエンディング。
リリー・グラッドストーンの、じりじりと何かを悟ったように陰る瞳の暗さには計り知れない凄みがあって、主演女優賞も納得の演技だった。
彼女のような実際の先住民女性がこういう映画でこの賞を獲る、ここまでで本作の真の完成だという気がする。

デ・ニーロがあまりにもデ・ニーロすぎて、よくもまあここまで悪人っぽい悪人になれるなと感心するほどだった。笑
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