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エスケープ・ルームのkuuのレビュー・感想・評価

エスケープ・ルーム(2019年製作の映画)
3.6
『エスケープ・ルーム』
原題Escape Room.
製作年2019年。上映時間100分。

体験型エンタメとしてホンマ人気高い『脱出ゲーム』を題材に描いたアメリカン・シチュエーションスリラー。
監督は『インシディアス』シリーズ第4作の『インシディアス 最後の鍵』を手がけたアダム・ロビテル。

謎の送り主からの招待状に応じて賞金1万ドルの懸かった体験型脱出ゲームに参加することになった、
内気な理系女子大生ゾーイ、
冴えないフリーターのベン、
元陸軍兵士のアマンダ、
裕福な投資家ジェイソン、
中年のトラック運転手マイケル、
ゲーム愛好家のダニー。
6人がシカゴの高層ビルに集まると、外界から隔絶された部屋に閉じ込められ、何の前触れもなく突然ゲームがスタートする。
姿の見えないゲームマスターの仕かけた命懸けのゲームに翻弄される6人は、死に物狂いでゲームを進めていくうち、それぞれが過去に大惨事に遭い、その場で唯一の生存者だったという共通した過去を持っていることが明らかになる。

冒頭のベン(ローガン・ミラー)のシーンでも登場した最後の部屋じゃ、壁に3つのラテン語のフレーズが繰り返されてた。
『Mors Mihi Lucrum』(死からは利益が生まれる)
『Mors Vincit Omnia』(死はすべてを制する)
『Acta Est Fabula』(ゲーム終了)
これが意味するのは?

余談が過ぎるけど、エスケープルームの会社の名前はミノス(ミーノース、古希: Μίνως, Mīnōs)。
ミノスはギリシャ神話の人物で、ゼウスとエウロパの息子であるクレタ島の初代王。
ミノタウロスを入れるための迷宮を作らせ、彼は9年ごとに7人の少年と7人の少女をミノタウロスの迷宮に送り込み、怪物の餌となるようにしていましたそうです。

さて、今作品は、『ソウ』、『コレクター』、『サラリーマン バトル・ロワイアル』とかの善き作品が既にあるし、コンセプトの独創性に欠けるが、ひねりの効いた楽しいスリラー映画は間違いないかな。
スリリングな演出やったし飽きさせず、キャラたちがいくつもの脱出部屋を巡り、パズルを解くちゅうコンセプトで楽しませてくれました。
時間内に解けなかったり、脱出できなかったりすると、致命的な結果が待ってる。
ゾーイ(テイラー・ラッセル)
ベン(ローガン・ミラー)
アマンダ(デボラ・アン・ウォル)
マイク(タイラー・ラビーン)
ジェイソン(ジェイ・エリス)
ダニー(ニック・ドダニ)の5人が、脱出部屋への招待状が入ったパズルボックスを手にして、向かうゲームは脱出できれば、1万ドルの賞金がもらえる。
目的地に行き、最初の部屋で待っていると、すぐにゲーム開始。
そこからがゲームの始まりです。
罠にはまる前に、知識と問題解決力を駆使して各部屋を抜け出さなければならない。
それぞれの部屋と謎解きには、彼らの過去の秘密が関係してんだなぁこれが。
また、彼ら彼女たちは、ただ単なる脱出ゲームじゃなく、何か大きなことが起こっていることに気づく。。。
プロットは良かった。
斬新なアイデアとは云えへんけど、何人かの見知らぬ人たちが手がかりを見つけて生き残ろうとする姿はとても面白かった。
それぞれのキャラには、このゲームにたどり着くまでの悲惨な過去のバックストーリーがあり、どないして生き残ろうとするのか、それぞれのキャラが立ってた。
ゾーイは優しくて知的な女子大生。
ベンはアルコール依存症で、死に物狂いのティーンエイジャー。
アマンダは軍隊にいた。
マイクはトラックの運転手。
ジェイソンは、自分勝手な態度の融資ビジネスマン。
ダニーは問題解決にこだわるオタク系のティーンエイジャー。
しかし、これらのキャラはどのようにつながってんのか、
はたまた、彼らの共通点は。
プロットの組み立ては良かったし、テイラー・ラッセルは、ゲームを進めていくうちに自分の限界に挑戦していくキャラをうまく演じてし、他の俳優陣もそれぞれのキャラをうまく演じていました。
何より、アダム・ロビテル監督は、サスペンスとスリルをうまく演出してたかな。
各キャラたちはあらゆる場面で、危険に直面する。
(部屋とトラウマについては下記の※印に記載しときます)
閉所恐怖症や、逆さまになった部屋から落ちる恐怖を感じさせる演出が個人的に巧いと感じました。
冒頭の、壁が迫ってくる部屋からキャラが押しつぶされて行くシーンは、サスペンスフルな演出の勢いを感じさせ、音楽も、部屋ごとの雰囲気作りに一役買ってたし、 ただ、最後の10分での展開は、ちょっと奇想天外だったような気がするかな。
続編の余地はガンガンあるなぁ。
今作品は、善きサイコロジカルホラー映画で、キャストも良かった。
奇妙な人物たちが命がけのゲームをするちゅう、脚本とプロットも良かったし、演出もサスペンスとスリルがあって面白かった。
ただ、捻りはこの映画の一番の弱点やったかもしれへんなぁ。
まぁ、しかし、それでもこの映画を見るのは楽しい時間でした。



※ネタバレに抵触しますし、お読みの際は自己責任でよろしくメカドック。

各部屋は、それぞれのキャラのトラウマとなる事故をモチーフにデザインされてる。

1: オーブンルーム(灼熱)は、
アマンダ(デボラ・アン・ウォル)が簡易爆弾と火傷から生還したことを模してる。

2:フリージングルーム(極寒)は、
ジェイソン(ジェイ・エリス)がボートの墜落後、数日間、氷点下の環境で生き延びたことを模したもの。

3:逆さまの部屋は、
ゾーイ(テイラー・ラッセル)が飛行機の墜落事故(母親や他の死んだ乗客が1週間以上も逆さまに吊るされていた)から生き延びたことを模倣している。

4:ポイズンルームは、ダニー(ニック・ドダニ)が一酸化炭素中毒から生き延びたことを模倣している。

5:アシッドルームは、ベン(ローガン・ミラー)が薬物/アルコールの影響下にあった時に交通事故から生還したことを模倣している

6:コンプレッションルームは、マイク(タイラー・ラビーン)が鉱山のシャフトの崩壊で圧死しそうになったことを模倣している。
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