牛猫

ウエスト・サイド・ストーリーの牛猫のレビュー・感想・評価

3.7
1950年代のアメリカ・ニューヨークを舞台に、移民系の二つのグループが抗争を繰り広げる中で芽生える恋を描いた話。

1961年版も元となるミュージカルも観たことがないけど、作品名だけは知っていたのと、スピルバーグ監督作というのに惹かれて鑑賞。
ギャング同士の抗争を軸に展開する現代版ロミオとジュリエットというイメージはあったけど、想像以上に血生臭い話で驚いた。
ブロードウェイミュージカルの名作とだけあって、出てくる音楽はどれも聞いたことあるものばかり。ノリの良い音楽と煌びやかな衣装とキレキレのダンスを眺めているだけで楽しい。
アンセルエルゴートは歌は可もなく不可もなくといった感じだったけど、スタイルが良くて見栄えがいいし、長い手足を活かしたダンスシーンには迫力があった。一方、オーディションで抜擢されたというヒロインのレイチェルゼグラーは突き抜ける高音の伸びが凄まじく歌唱力が桁違い。オリジナルの楽曲をそのまま使っているにも関わらず、どこか都会的な声質で古さを全く感じさせない。これは元の楽曲の素晴らしさもあるだろうけど。

敵対するもの同士の恋愛という王道のストーリーに加えて移民問題やギャングと貧困。性的マイノリティも盛り込んでいるというのが巨匠スピルバーグらしい。

悲劇的な結末ではあるけれど、圧巻のパフォーマンスと画面から溢れ出るエネルギーに若さが漲っていて、爽やかに感動できる作品だった。
牛猫

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