メイマーツインズ

僕たちは希望という名の列車に乗ったのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

4.2
《なぜ、越えなければならなかったのか》

冷戦下の1956年の東ドイツの若者たちを描いた実話物語。
Filmarksの平均スコアが4.0と高く、clipしていたドイツ映画を。
U-NEXTにて。



ベルリンの壁がまだなかった時代のソ連統治下の東ドイツ。
進学を目指すエリート高校生たちは、ハンガリーの民衆蜂起に影響をうけ、授業中に黙祷する。
その黙祷が、彼らの闘いの始まりだった…
国を揺るがし、家族も巻き込む大騒動へ。
イデオロギーの旗の下、若者を追い詰める行政の大人たち。
果たして彼らの運命は…

社会主義と民主主義、イデオロギー対立の最前線となり、徹底した監視国家となっていく東ドイツの実像が生々しく描かれている。
決して表に出すことは許されない自由と民主主義への憧憬。
社会主義が重んじる”規律と統制〟に反発する若者たちの揺れ動く心情、そしてそれぞれの立場で子どもと向き合う親たちの苦悩…

ドイツ映画の名作”善き人のためのソナタ〟”グッバイ・レーニン〟のように、イデオロギーに翻弄される東ドイツの人々を丁寧に描いてあり、ドイツ映画らしい重厚な作風でとても見応えのある作品。
邦題に繋がる秀逸なラストが、観る者の心に優しいそよ風を吹かせてくれます。
ドイツ映画の新たな傑作です‼︎