まーしー

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のまーしーのレビュー・感想・評価

3.5
85歳の誕生日の翌日に死体となって発見された人気小説家。
自殺か?殺人か? 一人の探偵が真相に迫るミステリー。
タイトルの「ナイブズ・アウト」とは、「複数のナイフが出た状態」という意味。実際、複数のナイフのオブジェも描かれている。

さて、本作に登場するのは華麗なる一族の面々。
不動産業を営む長女、父親の小説の出版社を経営する次男、ライフスタイルを提案する経営者で長男の未亡人など、外形上は社会的に成功を収めている人たち。
しかし、人気小説家の父とは確執があり、金の亡者でもある。クセも強い。
莫大な遺産、殺害の動機を持つ一族、彼らに疑念を抱く探偵の登場など、設定は日本で言うところの金田一と同じだろう。

登場人物が話す内容をもとに、人気小説家の死の真相が少しずつ明らかになっていく。
このストーリーテリングが秀逸。多数の人物が登場するものの、混乱なく、死に至る過程を知ることができた。

嘘をつくと嘔吐してしまう、看護師役のアナ・デ・アルマスが印象的。
実際、何度か嘔吐していた。特に、最後の嘔吐はインパクト大。
探偵役のダニエル・クレイグも、『007』シリーズとは違う渋さがあった。
ストーリーそのものに目新しさは感じなかったが、豪華なキャストと見せ方の巧さを感じる、良作だと思う。