⭕️初見
第七十四回毎日映画コンクール日本映画大賞受賞作品ということで鑑賞。
クラシックピアノを主軸とした若き天才音楽家達を映画いた作品で、音楽に対する衝動や感動を深く味わえる作品でした。
原作未読。
◼️セリフの強さから音楽の深みが表現されていた。
個人的に評価ポイント上がったのはここでした。ほんとセリフ強い。
商業的音楽に馴染んだ現代を生きる私たちにとって、クラシックから感じ取れるものは少ない、というか難解でいまいち理解できないのがごく一般かと思われますが、この作品では、“音楽”というものの見え方があまりにも上手の言語化されていて、実際に演奏されるシーンも難なく観れますし、感じられるものが非常に多かったです。
専門的な知識がなければ抽象的な表現と感じられてしまうようなところも、浅くならない程度にカバーされていて見事でした。
◼️視点が良い。
上記(クラシックとは少し難解)をさらに上手に表現しているのが、松坂桃李演じる高島の視点。
ほんとこの作品、天才ばかりでも成り立ちますが、天才程に及ばない才能の持ち主の視点を混ぜることで、私たちオーディエンスをさらに入り込ませる演出が成されていて、これはずるいなぁと感じました。彼には唯一移入することができます。
キャラクターの描き方に関しては、これといって突飛なものはないのですが、設定と演技も相まって、決して浅くはならないように表現されていました。
◼️インサート、情景描写は原作が気になる。
これに関しては、結構余計な程に気になるものが多くて、原作で描かれているようなものを表現しようとしたのだろうかと感じました。
色味などによって、暗いテイストに仕上げられていたのは、音楽を表現するということの裏側にはそういったものが多く隠れているのだろうということを表現できていて、個人的に好きでした。
◼️総括
フリーでジャズピアノを演奏するシーンの話などもしたいし、シンプルに音楽が良いのでおすすめ。
洒落た空気もあるし、美しさもある映画。
《好きなシーン》
やっぱ、天才たちに囲まれている松坂桃李の表現が凄く好きで、海のシーンで「悔しいけど、俺にもわかんない」って言うシーンはグッときたなぁ。深し。