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暗数殺人のkuuのレビュー・感想・評価

暗数殺人(2018年製作の映画)
4.2
『暗数殺人 - 암수살인』映倫区分G。
原題Dark Figure of Crime.
製作年2019年。上映時間110分。

実際の連続殺人事件をモチーフに(2012年に韓国・SBSで放送されたドキュメンタリー番組『それが知りたい』の中で取り上げられた実際の事件がモチーフとなっている)、7人を殺したと告白する殺人犯と、その言葉に翻弄される刑事の姿を描いた韓国製サスペンスミステリー。
映画『チェイサー』のキム・ユンソクと、『アシュラ』のチュ・ジフンがダブル主演。
脚本に『友へ チング』のクァク・キョンテクが参加している。

タイトルの『暗数』てのは、主に犯罪統計において、警察などの公的機関が認知している犯罪件数と実社会で起きている件数の差を指すそうっす。

恋人を殺害して逮捕されたカン・テオから『全部で7人殺った』ちゅうイカれた告白を受けた刑事キム・ヒョンミン。
しかし、テオの証言以外に証拠はなく、警察内部でもテオの云うことを信じる者はいないってそらそうやなぁ。
日本でもよくある。
それでも、テオの言葉が真実であると直感的に確信したヒョンミンは、上層部の反対を押し切り捜査を進めていく。やがて、テオの証言通りに白骨化した遺体が発見されるが、その途端、テオは『死体を運んだだけ』と証言を覆す。。。さぁどうなる。。。

シリアルキラーてのを軸とした一般的なポリスストーリーやと、一匹狼的な若しくはアル中の問題を抱えとるポリスが、犯罪現場から犯罪現場へ、被害者から被害者へとアドベンチャーゲームさながら移動し、次の犯罪が起こる前に、最終的に犯人につながるパズルのピースをはめ込もうとする。
せや、今作品は、そないな規格を飛び越えてるかな。
死体からスタートじゃなく、逮捕された被疑者(シリアルキラーであろう)が、拘置所に入れられた殺人者から始まる。
勾留中すぐに、彼は自分が責任を負うべき更なる殺人のリストを提示して、刑事を喜ばせることにした。
暇潰し、処刑の先延ばし、司法取引(日本じゃ表向きにはないが)何処の国でもある。
彼の告白する殺人事件の中には、犯罪データベースに登録されていないものもある。中には全くの架空の事件もある。
ボリス(刑事)の仕事は、事実と虚構を取捨選択し、わずかな情報を既知の行方不明者と結びつけて、被害者を見つけ、さらに犯罪と犯人を結びつける証拠を固め検察に調書をあげることである。
恋人を殺して20年の刑に服している犯人が『自白』についての情報を提供するには、獄中で定期的に収入を得て、他の囚人たちの中での地位を向上させる必要があるからだ。
実際、殺人犯のカン・テオ(チュ・ジフン)がゲームを始めるきっかけとなったのは、この収入の流れやった。
せや、情報が流れ始める前に、刑事のキム・ヒョンミン(キム・ユンソク)は、自分を収監した検察側との決着をつけるために協力しなければならない。
ポリスにとっててか、キム刑事はカンが肉体的に誰も殺せなくなるまで刑務所にブチ込むことと、長い間行方不明になっとる人たちの死を認め、その家族に区切りをつけさせたい云う人間的な欲求の2つが動機となってる。
今作品で最も重要なキャラは、見えない犠牲者たち。
そして、実際の事件モチーフがあるし、ちょい語弊があるかもしれへんけど、今作品楽しみの多くは、刑事を演じるキム・ユンソクと、自己中心的でサイコパスイカれ野郎の殺人者を演じるチュ・ジフンの演技にあるかな。
また、どちらのキャラにも興味深い背景があり、彼らの現在の行動をよく表して描いてんのとちゃうかな。
韓国のクライムスリラーは、時間的には長いけど、多くの興味深い作品(今作品を含め)長すぎるって感じはなかった。
実際、少し短くさえ感じたかな。
解決策は、規定のクライムスリラーの内容に見合っていないように感じた。けど、この少しの失望感てのは、思慮深い終結部分によって解消され、物語がまだ終わっていないことを知りながら、個人的には満足できたです。
kuu

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