記録。
絡まる糸を解すように分かりあう。
『サイゴン・クチュール』に続くベトナム映画鑑賞。同じくサイゴン(ホーチミン)を舞台とするこちらはオリエンタルムードに酔わせてくれる作品だ。
高利貸しの元で借金の回収を生業とし、恐れられているチンピラ男ユンと、若き劇団俳優リン・フンの運命的な出会い。反目しあっていた2人は、伝統音楽とゲームと過去語りで心を通わせていく。
本作が映画デビュー作だというユン役の俳優さんが非常にいい味出してるんですよね。醸し出す野性味の割に繊細、孤独を内に秘めるユンを好演。
映像面で強烈に印象的なのは色彩。全体的にセピアがかった印象で驚くほどにクリアな色が廃されている。暗がりに灯るオレンジ色の光、光が生み出す影のコントラストは観る者を恍惚へと誘うだろう。
散見される「本作はLGBTQ映画じゃない」論には賛成。もちろんどう捉えるかは個人の自由な訳だけど、少なくとも劇中で描かれるユンとリン・フンの関係性に恋愛感情は感じ取れなかったし、あくまで友愛なんじゃないかと思う。なのでその手の作品が得意ではないという理由で二の足を踏んでいる方には是非観てほしい気がしますね。
2人がやってたのってファミコンの「魂斗羅」かな?世代じゃないけど昔やったなぁ。懐かしい…