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パリ、嘘つきな恋のmadokaaaのレビュー・感想・評価

パリ、嘘つきな恋(2018年製作の映画)
3.8
リッチでイケメンの中年プレイボーイが、美女の気を引くため車椅子利用者のふりをしたことから始まる恋の行方。

女を口説くためなら平気で嘘もつき、後腐れなくスマートに恋愛を楽しむジョスラン。

咄嗟についた嘘から車椅子生活を装うこととなり、ある時、世界的なバイオリストでありながら車椅子プレイヤーとしても活躍する美しい女性フローレンスを紹介されるが…

最高にロマンチックなラブストーリー。

事故で半身不随になるも、ハンディキャップを否定せずに前向きに生きるフローレンス。

このフローレンスが本当にチャーミングで快活で、ユーモア溢れる魅力的な女性。

なんですかね、もっと重いテーマとして扱うべきだとか、不謹慎だとか、そんな側面も少しはあるのかもしれませんが、彼女を見ているとそういった思い込みや哀れみの方がよっぽど配慮が足りないような気がしてきます。

正直ジョスランの薄情さに初めはかなり引いていましたが、変に罪悪感を感じずに観れたのは、彼の無神経さが逆に特別扱いを望まないフローレンスにハマっているのを感じたからだと思う。

あとこちらの作品は本当に映像が美しい…!
ロマンチックなプラハの夜や心ときめくパリの街並み。
特にプールでのラブシーンが幻想的で、映画ならではの演出にうっっとりしました。

無駄に説教臭くお涙頂戴なストーリーに仕上げていないことが逆に、素直に人と関わる事の温かさを感じさせてくれる極上なエンタテイメントとして成立させています。

人はなかなかマイノリティに対して寛容になれないけれど、大事なのはその人の本質を見ること。
人種とかハンディキャップとか立場とか、そんなものに左右されない自分でありたいなーとか、フローレンスの寛容さを見習わないとなーなんて、ほんのりじんわり見つめ直す余韻を感じさせてくれる作品。

けっこうブラックで笑えるので、コテコテの恋愛映画や何万人が泣いた!的な狙ったストーリーが苦手な方にオススメ。

ちょっぴり気恥ずかしい、距離の縮め方が分からない、そんな大人の恋愛の雰囲気を絶妙に引き出している映画だと思います。
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