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すずめの唄のRのレビュー・感想・評価

すずめの唄(2008年製作の映画)
4.6
すばらしい!!! 久々に映画見てこんなに涙したわ! マジッドマジディはほんまハンカチーフ必携っすね! オープニング、いきなりダチョウの顔面アップで、養ダチョウ場で働くおっそんたちの風景から始まり、デカさが人間よりある巨大なダチョウたちがワラワラいるという見慣れぬ光景に魅せられ、卵でけーとかいろいろ驚きながら、ホントに素朴な田舎の人たちに起こる小さなドラマが展開していく。娘の補聴器が壊れてしまって新しく買わないといけないのにダチョウを1羽柵の外に逃してもうて職を失い、クサクサし始める主人公。テヘランでバイクのタクシーをして結構いい金を稼ぎ始めてからは、謙虚さと平静を失っていき、自分のことばっかを考える自分と、イスラム教的喜捨を求める自分とが葛藤するようになる。そんなとき、とんでもない事故が起こってしまう。ほんとにどのシーンをとっても全然大した話じゃないのに、人物たちの心に起こる葛藤や逡巡や後悔などがだんだんと積み重なって、少しずつ少しずつ心の琴線に触れ、感動が深まっていく。で、最終的に涙腺決壊、最後の20分くらいはずっと涙が止まらないという驚きの状態に。人間の純朴で素直な善良さってのはホンっトに美しいなと思わずにはいられないし、人物の感情をまったく言葉であらわさずに、全て繊細な映像の演出によって巧みに描いていくのがもうサイコーに素敵。息子の手を見るシーンとか、娘がほんとは聞こえてないシーンとか、マジでたまらぬ! 何でこんなに美しい作品がこんなに一般に知られてないのかが不思議。んー、確かに、テーマも雰囲気もものすご地味なんやけどね笑 けど公開もソフト化もないというのはどういうこと! これが埋もれてしまうのはもったいなさすぎる!
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