マイケルムーア監督のこの映画を一言で表すなら「歓喜と失望」かもしれない。
人々は「これから女性初のヒラリーが大統領になる」と歓喜したものの実際はトランプが大統領になり、トランプが何かを変えてくれると歓喜したものの実際は人種差別やアメリカの問題が浮き彫りになり、オバマが汚水問題を変えてくれるかと歓喜したものの実際は演技だと気づく。
トランプ大統領誕生以降に起きた問題をわかりやすく映像付きで批判的に紹介している映画なのだが、その批判の手法としてヒトラーの政策を紹介してトランプとの類似点を見せていたり、マイケルムーアならではのメッセージ性を感じる。もちろんアメリカにも良い所は色々あるかもしれないが、トランプ就任後にどういった問題が起きていたのかを知るのには丁度いい。
中学生や若者が政治家の当選に一喜一憂するシーンがあるが、日本ではそういったものは見られない。いや、トランプ就任前のアメリカもそこまで目立たなかったのだろうが、就任後に「水道水の鉛問題」「政治家のライフル協会からの献金」「Black Lives Matter」「低賃金」「人種差別」がより命に関わる形で浮き彫りになったが故に人々は立ち上がらざるをえなくなったのかもしれない。