みなりんすきー

コンジアムのみなりんすきーのレビュー・感想・評価

コンジアム(2018年製作の映画)
3.8
『よって我々「ホラータイムズ」は次なる目的地を──”CNNが選ぶ世界7大心霊スポット”に決定した』

『それで”402号室の呪い”という言葉が生まれた その部屋の封印を解くんだ』

『”生きよう”だったのに ”死のう”に変わってる』

『アクセス数は30万回を超えたし──途中でやめたらスポンサーがつかない』


■ あらすじ ■
YouTubeで恐怖動画を配信する人気チャンネル「ホラータイムズ」が一般参加者を募り、男女計7人でコンジアム精神病院を訪れる。様々な機材を用意して建物内に潜入し探索を続けるうちに、目標100万回再生へ向けてアクセス数は順調に伸びていくが…


■ 感想 ■
『コンジアム』
(『곤지암』)

韓国最恐心霊スポットと言われる実在するコンジアム精神病院を舞台にしたPOV方式をとった映画。
実はこれ公開当時劇場に観に行こうとチケットまで買ったにも関わらず予定が押してしまい結局募金()だけして行けなかったんですよ(笑)ずっと気になってたので、部屋真っ暗にして大音量で観ました。

評判通り、なかなかイイジャン!!!
韓国ホラーってあんまり〜なイメージあったけど、今作は当たりな気がします。実際低予算映画ですが興行収入かなり良かったみたいですね。

POVホラーでいうとパッと浮かぶのが『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『REC』辺りですが、ホラーとして”ハラハラド度”や”ドキドキ度”でいうと、個人的には今作の方が上で、後半は結構手に汗握って観れました。何年か前にブレア・ウィッチのリメイクがあったと思うんですけど、あれもかなりハラハラして嫌な汗かいたのが記憶に新しいんだけど、今作もそれに匹敵するしっかりとした”恐怖”があったので高評価です。ちゃんと、人間が感じる本能的な恐怖をいや〜な感じに刺激してくる感じでした。

魅力的だなと思ったのが、まず主人公たちが時代に合わせたYouTuberなので、普段毎日のようにYouTubeに触れている自分からしても親近感を感じるし、配信を見るいち視聴者のような気持ちで見られたのも楽しかった。で、この主人公たちも所謂よくいるウェーイ系のYouTuberなので、現地でどんどん無礼なこともしてくれるし、ヤラセ撮ったりしてしっかり配信者の裏も見せてくれるし(笑)、序盤はそのある意味でリアルさを感じながら「バカだなコイツらw」とクスクスしながら見てられる。なので、この後どれだけ痛い目にあおうが、まぁ別にいいかって気持ちなんですよね(笑)かわいそう、みたいな感情移入を誘う作りにはなってないし、おバカな若者たちが勝手に踏み込んで荒らしたぶんしっかりと報復を受けるという因果応報を純粋に客観的に楽しめます。笑

POVが流行ってもう長いけど、はじめの頃のPOVって、ハンディカメラとかで主観視点の設定にしているくせに、明らかに不自然な撮り方だったり画角を意識しまくった撮り方だったりとかして、結局リアリティより”画の良さ”を優先しちゃってる映画も多くて、それを見る度にリアリティが急激に薄れてなーんだ、とガッカリしちゃうことが多かった。だけど今作は、全ての映像が”本当に俳優たちが持っているカメラ(GoProなど)で撮ったもののみ”とのことで、最初から最後までしっかりとリアリティが追求されており、モキュメンタリー作品として完成されていました。ここまでちゃんとやってくれると見ていて違和感もゼロで楽しめるし、「そうそうこういうの求めてた!」と思えるんだよね。実際に演じられた俳優さんたちも全員無名の方々のようなので、撮り方に関しても勿論ド素人だし、だからこそわざとらしい角度や演出が無いのが分かったので良かったです。

それに加えて、今作では後付けした”BGMがない”ので、聞こえてくる音は全て彼らの現実で鳴っている音たち。配信用に、「音楽流すぞ」といってホラーテイストの小さなBGMを少し流すシーンもありますが、それも実際に彼らがYouTubeの動画用にPC上で流しているだけ。それもほんの数秒で終わったので、ほぼ全編BGMナシと言えます。POVでファウンド・フッテージ(撮影者が行方不明になったなどの理由により埋もれていたが後に発見された映像、という設定)方式をとるのであれば、これも正直当たり前で、観る私たちを意識してBGMなんてつけてしまったら、それこそリアリティ0になってしまう。作り物じゃんってなっちゃうからね。見えるもの、聞こえるものは全て、そのカメラに収まっているものでないと。そういった面でも今作は徹底されていて良かった。

潜入開始してから結構経ってもあんまりドカーンと何かが起こったりしなかったので、なんだよ〜もう半分経っちゃったよこれ大丈夫かよ〜と少し心配になったりしたんだけど、後半しっかりと追い上げてくれました。寧ろ間延びっぽい前半があったおかげで急降下急加速ぶりをより体験できたかなと。絶望感も結構ヤバくてもう見ているこっちも諦めモードに入るんだけど、ラストなんかもうフッて笑っちゃったもんね(笑)いやお前その勢いで行って短命すぎるやろと突っ込んでしまった(笑)

そのまま普通に終わるかなと思いきや、ラストにはちょっと乙なオチも用意されておりました。個人的にこれが一番良かったかも。彼らの努力はいったい・・・(笑)

ものすごく上質なお化け屋敷を体感したいなら是非!っていう感じの1本でした。
これ本当に観に行き損なったの悔やまれるな。あの1800円は何だったんだろう(戒め)