猫とフェレットと暮らす人

グリーンブックの猫とフェレットと暮らす人のネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ガサツなイタリア系白人のトニーと品格の黒人ドクターシャーリーの素敵な掛け合いと友情の最高な物語。

テーマが人種差別という重い。が、お洒落でコメディ要素、そして素敵な音楽が重さを軽減している。
演出や脚本が素晴らしい。恩着せがましくなく人種差別を描けてるのは、俳優の演技も素晴らしいからだと思う。

ケンタッキーのシーンはドクターシャーリーの笑顔が最高に可愛かったし打ち解けた感がぐっと来て良かった。

トニーのガサツなのはハラハラさせるが、それよりも品格を必死で保つざるを得ない黒人のドクターシャーリーが夜にふらっとバーに行って絡まれたり、警察のお世話になったり、ほっとけないのは品格って言ってるあんただよ。と思って次に何をしでかすかハラハラしました。

トニーの物事を深く考えないのが幸いして、黒人のドクターシャーリーの行動を許していく感じとか、描き方最高です。

ハラハラするのが最後まで引っ張られて、最後にトニーの家のクリスマスパーティーに黒人のドクターシャーリーが来てくれたのは感動しました。奥さんも手紙に気づいててかわいい夫婦ってのも良かったです。

これが実話を基にしているという安心感があり、何故ドクターシャーリーはトニーを選んだのかとか、物語として何が起こるのかとか、無理やりストーリーをこじつけたりすることも無く説得力があり、良かったです。映画なので脚色は当然ですがオシャレにまとまっていて、良かったです。

脚本家の一人が実在のトニー・リップの息子であるニック・ヴァレロンガなので、父との思い出とかも入ってたのかなぁと思うと、よりいっそう感動できる。
映画なので脚色バリバリだろうし、ドクターシャーリーの遺族は映画と現実は違うし誇張されてるんで何か嫌な感じって事らしいけど。
映画にしてくれて、観賞できて、感動できたので、私個人的には感謝です。

拾った?ヒスイとか、早口言葉とか伏線回収という演出もクドくなくおしゃれに感じる演出で良かったです。

印象深いシーンは、ドクターシャーリーは車を降ろせといって、雨の中、後先関係なく雨の中を歩き出してブチギレてるところ。感情高ぶって意味わからん行動をトニーが止めるが、
黒人のドクターシャーリーが
「黒人でもなく、白人でもなく、それに男でもない。教えてくれ、トニー。私はいったい何者なんだ?」
というシーンはすごく理不尽な世の中とシャーリーの個人との問題が溢れされるシーンで、感慨深く素敵なシーンでした。

あるホテルでトニー昔の知り合いにあって仕事の誘いをうけて、黒人のドクターシャーリーがトニーに誘いに乗らないで欲しいと現れたシーン。
トニーは当然ドクターシャーリーとの仕事を続けると言ってホッとしたドクターシャーリーが自分が起こした事件の事を謝った。
それに対してガサツな白人トニーの
「気にするな」
視聴者の私が、トニーに言ってほしかった言葉が、そのまま出てきて感動。
ドクターシャーリーの安堵の表情も素敵。
友情が深まった感じが良かったです。

1960年代の雰囲気は今からみるとレトロでアメリカンでオシャレな車や衣装など美術品も美しかったです。

この後、ケンタッキー・フライド・チキンの事を私は、トニー・リップと呼ぶようになりました。