たりほssk

冬時間のパリのたりほsskのレビュー・感想・評価

冬時間のパリ(2018年製作の映画)
4.2
何しろ会話の量が多いです。会話といえばロメール監督が浮かびますが、それと同じくらい強いインパクトを受けました。

二組の夫婦を中心に、電子化が進む現代の出版業界についての意見が闘わされます。それはそれで、とても興味深く考えさせられるものでした。それだけでも大きいテーマですが、それを話すこれらの夫婦には、入りくんだ人間関係があり、その2つのテーマの二重構造になっているのです。とても緻密で奥深く、見応え聞き応えがありました。

彼らの会話で驚いたのは、相手にとって嫌な思いをさせるかもしれない事を、自分の意見だからと主張するところです。全く主観的な意見ですが、日本人の会話ではあれほど言わないと思う。私にはとても緊張感の高い、疲れる会話でした。
だけど見方を変えれば、自分の意見を曲げずに大切にするという事はすなわち、自分という存在を大切にするという事で、そしてそれは誰にでも認められるという事だったらあり得るのかなと思いました。
何しろ会話についていろいろ考えさせられます。フランス文化の一側面を知る事ができる素晴らしい作品だと思います。
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