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mid90s ミッドナインティーズのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.8
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
 mid90s ミッドナインティーズ
(2018)
◆主人公たちのポジション
 スケートボードに現実逃避する
 貧困層の青年たち

◆該当する人間感情
 憂い、好奇心、悲観、病的状態

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄に負けてばかりで、早く大きくなって見返してやりたいと願っていた。
・そんなある日、街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、驚くほど自由で格好良い彼らに憧れを抱き、近づこうとするが…。

〈見処〉
①君たちと出会って僕は僕になった——
A24が贈る青春映画のマスターピース
・『mid90s ミッドナインティーズ』は2018年に製作された青春映画。
・本作は『マネーボール』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で、2度のアカデミー助演男優賞をノミネートされている俳優のジョナ・ヒルが、映画ファンから注目されている新興映画スタジオ「A24」とタッグを組んだ初監督作品。
・ジョナ・ヒル自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長とアメリカの社会問題を交えて描いた本作は、2018年に全米4館で限定公開されたが、口コミで評判が広がり、最終的に1200スクリーンまで公開が広がった注目作品である。
・13歳の主人公スティーヴィーを演じるのは、『ルイスと不思議の時計』や『聖なる鹿殺し』(2017)に出演するサニー・スリッチ。母親のダブニーを『ファンタスティック・ビースト』シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄を『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞助演男優賞の候補者となったルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。
・90年代のヒット曲と共に「ディスクマン」や「スーパー・ファミコン」「ストリート・ファイターⅡ」など当時のカルチャーが詰め込まれた本作は、全編16mmフィルムで撮影され、画面アスペクト比は4:3とするなど、90年代の雰囲気を再現した作風となっている。

②結び…本作の見処は?
◎: スケートボードを物語の鍵と据えた青春映画である本作は、90年代を本作の登場人物と同世代として過ごした、現在30代の鑑賞者にとって、まさに「身近なサブカルチャー」。ドキュメンタリーのようなリアリティーを持ったストーリーとなっているはずだ。
◎: 主人公のスティーヴィー以外の登場人物の心の遷移も丁寧に描き出している。とくに黒人青年レイを通じて、プロスケーターになること以外、現状から脱出出来ないアメリカの社会格差のジレンマが描かれ、新人監督ジョナ・ヒルの力量の高さが垣間見れる。
▲: 80's世代の自分にとって、劇中曲に全然ついていけず。

③本作から得られる「人生の学び」
・良いも悪いも、人は人から多分の影響を受けている。
・周囲の人の評価は容易いが、自分自身を客観的に見ることは難しい。
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