CHEBUNBUN

蟲のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

(2018年製作の映画)
2.5
【ヤン・シュヴァンクマイエル引退作】
本作は、完全にヤン・シュヴァンクマイエルのファン映画となっています。彼の映画のファン以外は、この映画を評価しないことでしょう。

彼のファンであって、彼のフィルモグラフィーの中でワーストに位置付けることでしょう。本作は、チャペック兄弟の戯曲を演じる者を描いた話なのだが、そこに映画製作の裏側のドキュメンタリーを挿入していく歪な構成になっています。映画の外側、映画、映画の中の劇、劇の世界、この多層構造でもって虚実入り乱れた世界を紡ぎだそうとしている。ただ、その手法はもう多くの監督が行なっている。そして、ドキュメンタリー要素と映画の世界を等価に描く監督といえばフェデリコ・フェリーニを思い浮かべるのだが、フェリーニと比べると、非常にお粗末な出来となっています。端的にいえば、本作のドキュメンタリーパートはDVDの特典映像でやるべき内容でしかないのです。単純にカーテンを開くと虫が窓にべったり張り付いている場面や、ストップモーションアニメの技法を、並べているだけなのです。これが物語に絡んでいるかと聞かれたら、反発しているだけと答える。まるで汁と麺が分離しているラーメンを食べたような気分になります。

ただ、クオリティを犠牲にしてでもチェコアニメーションの魅力と、ヤン・シュヴァンクマイエルの技術を後世に伝えようとする姿勢に胸が熱くなりました。

クラウドファンディングに参加してよかったと思います。
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